131行がオープンAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)に対応する─。

 オープンAPIの導入方針において、多くの銀行が対応を表明していることがこのほど明らかになった。金融庁によると、139ある邦銀のうち、インターネットバンキング(IB)を提供していない8行を除いた全ての銀行が何かしらのAPI公開に踏み切るもようだ。

 2017年に成立した改正銀行法の目玉は、銀行に対してオープンAPIの導入を努力義務化したことだ。政府は「未来投資戦略 2017」の中で2020年6月までに“80行程度”というKPI(重要業績指標)を設定している。一方で、銀行APIに接続するFinTech企業などは新たに電子決済等代行業者として登録制を課している。

 同改正法は2017年6月の公布から9カ月以内に、APIの導入可否を巡る方針を公開するように規定している。これを受けてメガバンクや地方銀行などは、2018年2月~3月にかけて続々と方針を公表した。預金業務を扱っていない信託銀行など一部の銀行は対応の予定はないとしたものの、大部分はAPI公開の意志を示した。“80行程度”という政府目標は、軽々とクリアする見込みだ。今後の焦点は、銀行APIがいかに実効性のあるものになるか、である。

●オープンAPIを公開する⾦融機関の推移
●オープンAPIを公開する⾦融機関の推移
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90行が更新系APIにも対応

 多くの銀行がAPI公開に応じても、中身が骨抜きであれば意味がない。ある大手ITベンダーの担当者は、「制度対応として取り組む銀行も少なくない」と証言する。形ばかりのAPI公開では、FinTech企業をはじめとする電子決済等代行業者を惹きつけられず、結果として利用されない“死蔵API”で溢れる恐れがある。

 API公開が骨抜きになるケースは大きく二つだ。一つは、大部分の銀行が参照系APIだけを公開し、努力義務を果たしたという立場を決め込んだ場合だ。ユーザーの利便性やセキュリティ向上に一定の効果はあるものの、新しいサービスを生み出す土壌としての期待は資金移動を伴う更新系APIにかかっている。

 ただし各行の方針を見る限り、こうした懸念は杞憂になるかもしれない。現時点で更新系APIの整備を掲げる銀行は約90に上る。電子決済等代行業者は多くの銀行で、振替や振込といった銀行サービスをAPI経由でユーザーに提供できるようになると見られる。

 API公開が骨抜きになる二つめのケースは、オープンAPIに係る導入コストを転嫁するために高額な課金料が設定された場合だ。特にサービスを試行錯誤する段階から高額な手数料がかかるようでは、電子決済等代行業者は利用を敬遠するようになり、オープンイノベーションで新しいサービスを生み出すという本来の目的は達成されなくなる。

 2018年6月の施行が見込まれる改正銀行法を巡る次の山場は、施行から6カ月以内とされている電子決済等代行業者の登録だ。登録審査が厳しくなり、限られた事業者しか参入できない結果となれば、イノベーションの可能性を制限することとなる。とはいえセキュリティの甘い事業者などの参入を許せば、大きな事故を招く危険性がある。仮想通貨交換業者の登録と似た状況と言えるかもしれない。金融庁は、いかにバランスを保つかに頭を悩ませることになる。