経済産業省は2020年6月30日、同日終了した「キャッシュレス・ポイント還元事業」におけるアンケート調査の結果を公表した。調査は、同事業の補助金事務局であるキャッシュレス推進協議会が事業開始前の2019年9月、事業期間中の2019年11月、2020年5月の計3回実施。全国約2万7000人の消費者と約6600件の店舗が回答した。

 消費者向け調査では、同事業の認知状況や支払手段、使用頻度などについて調べた。その結果、2020年5月時点における同事業の認知状況は全体で約86%となった。また同時点において、事業を契機にキャッシュレス決済を使い始めた、あるいは支払い手段を増やした消費者は全体で5割強となった。

 キャッシュレス決済の利用頻度を見ると、事業開始前よりも全体的に増加し、増加したと答えた割合は20~60代で5割強、10代と70代以上では4割弱だった。キャッシュレス決済利用者の内、約8割が「ポイント還元事業終了後もキャッシュレスを利用したい」と回答している。

 店舗向け調査では、同事業の導入率や導入効果などを尋ねた。導入率はポイント還元事業によって全体で約27%から約36%まで増加し、地域別に見ると町村部では約23%から約40%まで上昇した。また、事業に参加した店舗に対し導入効果を調べたところ、約46%が「業務効率化」、約38%が「顧客獲得」、約40%が「売上」に効果があったとし、9割が「キャッシュレス手段の提供を続ける」と回答した。

 一方、キャッシュレス決済を縮小する予定の店舗に対して理由を尋ねた。その結果、「当初想定よりも決済手数料などの費用が割高だったから」という回答が最も多かった。また、全体平均で約2割の参加店舗が「キャッシュレス決済導入に伴う入金サイクルの変化に起因して資金繰りに困ることがある」と答えている。