盛り上がりを見せるFinTech業界。欧米と比べ、スタートアップ企業が少ないと言われる日本だが、注目しておくべきFinTechスタートアップ企業が出始めている。本連載では、FinTech業界に影響を与えそうなテクノロジー、ビジネスモデルを持ったスタートアップ企業を紹介する。
注目のFinTechスタートアップ企業
目次
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個人向け与信機能を「as a Service」で
新規参入のハードル下げ、多彩なサービス創出を狙う
Crezitは、個人向け与信機能を一括提供する「Credit as a Service」の開発を進めている。様々な企業が手軽に与信サービスを組み込めるようにすることで、これまで見過ごされてきたニーズに応えていく考えだ。
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ノーコード開発で保険業界を変える
Excelスキルで利用可能、保険に特化した開発・販売基盤
Protosureは、保険商品の開発・販売プラットフォームを提供している。最大の特徴は、プログラミング不要で商品やプロトタイプを開発できる点だ。既存の保険会社だけでなく、新規参入事業者への導入を狙う。
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個人投資家の意思決定に集合知をもたらす
複雑な投資アイデアを投稿・閲覧できるSNS
クリプタクトは、投資家の意思決定を支援するツールを手掛ける。2020年6月には、投資アイデアなどを共有できる「アイデアブック」をリリース。機関投資家同様、議論や情報収集ができる場を個人投資家に提供する。
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不動産査定を精度9割で予測するサービス
独自に収集した1億件のビッグデータをAIで分析
リーウェイズは、不動産テックを活用したAIシステムの開発を手掛ける。2009年から独自に収集した約1億件のデータを生かして精度の高い査定を実施。透明性の高い不動産取引を構築し、投資不動産市場の拡大と活性化を目指す。
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投信、保険、ローン扱う金融版EC実現へ
金融仲介業の規制緩和を視野に新規参入者へ提供
Librusは、金融ビジネスに特化して上流から下流までカバーするシステム開発を手掛ける。金融仲介業の規制緩和に向けてEC(電子商取引)プラットフォームのパッケージ開発を進めている。投資信託、保険、ローンなどの業種にまたがる金融商品を提供するサービスの構築を支援する。
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共働き夫婦の金銭管理を容易に
家族のお金の動きを見える化、共同貯金も支援
OsidOriは、夫婦間の家計管理や情報共有、資産形成などを支援するスマートフォンアプリを提供している。ミレニアル世代を中心とする夫婦間でのお金の手間や悩みを解消するのが狙いだ。京都銀行と提携し、同行アプリと連携したサービスを2020年6月に提供予定だ。
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不正な経費申請を自動検知
独自アルゴリズムで全件チェック、経理業務の効率化にも一役
Miletosは、AIを活用した経費精査クラウドサービスを提供する。人手が多く介在する不正チェック業務を自動化することで、経理業務の工数削減と品質向上の両立を支援する。
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新貿易基盤で中小企業と新興国を結ぶ
暗号資産を使ったエスクロー取引を実現、電子記録債権で資金繰りも支援
STANDAGEは、ブロックチェーンと暗号資産(仮想通貨)を活用した貿易プラットフォームを提供する。特に中小企業にとってハードルの高い新興国向け貿易において、決済から資金繰り、さらには企業間マッチングの支援を目指す。
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「社債」の代替商品を個人投資家に提供
資金調達企業にもメリット、ファンづくりも支援
クラウドポートは、資金調達を目指す企業と個人投資家をつなぐプラットフォーム事業を手掛ける。狙いは「社債」の感覚で扱える商品の提供。投資家は1円から直接投資できる。企業は使途を柔軟に資金を調達できるほか、ファンづくりに役立てられる。
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正当な評価と報酬が得られる社会へ
社会実験と技術開発を両輪で推進
シビラ(Sivira)はブロックチェーンの社会実験と技術開発を両輪で進める。複数の価値観を認め、評価が難しい取り組みに報酬を提供する社会の実現を狙う。各個人が所属する組織にとらわれない「自律分散型」社会の到来を見込む。
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「代わりに支払う」サービスを実現
個人間送金の不便さを解消
コモニーは電子チケットを活用したキャッシュレス決済サービスを展開している。タクシー代などを利用者以外が「代わりに支払える」システムを実現した。福岡県内のタクシー企業が導入、電子タクシーチケットのサービスを提供中だ。
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パスフレーズ不要で暗号資産を管理
初心者でも扱いやすいウォレットシステム開発
AndGoは、暗号資産の鍵管理を容易にする試みを進めている。復元用パスフレーズが無くても、暗号資産を保全できる技術を開発。手軽に操作できるハードウエアウォレットとセットで売り込む。
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飲食業の広告モデルを変革
暗号通貨を報酬に活用、飲食店と利用者にメリット
GINKANはグルメSNSを世界で展開している。暗号通貨を活用し、飲食店の負担を軽くする成功報酬型の広告モデルを確立。レビュー投稿者や利用者に暗号通貨で還元する仕組みも整備し、サービス拡大を狙う。
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不動産投資の前さばきを支援
不動産情報を地図上で管理、「面倒な作業」からの解放目指す
RESTARは機関投資家向けに、不動産投資情報の一元管理ツールを手掛ける。分析作業を効率化し、意思決定の迅速化を支援するのが目標だ。案件情報を地図上で管理できるなど、直感的なUIを提供する。
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保険業界の〝セールスフォース"を目指す
見込み顧客まで一元管理、改正保険業法にも対応
保険業界をアップデートする─。こうしたミッションを掲げるhokanは専門メディアを複数運営しつつ、保険代理店向けのクラウドサービスを提供している。顧客管理や契約管理に加え、営業支援を内包するツールの機能を順次拡充中だ。
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給与前払いの新星、ビジネス特許も取得
評価の高い働き手が報われる仕事マッチングサービス
次々登場する給与前払いサービスで、着実に利用者数を増やしているタイミー。アルバイトだけでなく、今後は企業インターンや就職、第二新卒まで視野に入れ、個人の評価がスコア化される新たな世界を作るべく挑む。
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AI使い未来を予測シミュレーション
独自に分析エンジンを開発、金融機関との協業続々
様々な金融関連データを集め、未来予測するシミュレーション技術が強みのMILIZE。同社が相次ぎ金融機関と協業し、アプリの分析エンジンを提供している。「AI Bank」構想を掲げ、さらに金融向け技術を磨いている。
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次世代のカギでリアルとバーチャルつなぐ
運用管理のための3層システムを独自開発、6月にも外部にAPI 公開
シェアリングサービスの勃興を好機ととらえ、“ カギ” にイノベーションを起こそうとしているのがビットキーだ。ブロックチェーンを駆使し、リアルとバーチャルの垣根なく決済の起点となる本人認証を実現する環境作りに挑む。
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作者に還元でアートの新作市場を活性化
業界横断のブロックチェーン構築、作品の来歴を追跡可能に
有名作品が高額で2次流通する一方、新作が日の目を見ないアート業界。スタートバーンは業界横断のブロックチェーンで作品の来歴を記録し、2次流通以降も作者に還元される仕組みで新作市場の活性化を狙う。
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人間そっくりの人格を持つデジタル秘書
「AI」「AR」「ブロックチェーン」をフル活用し“温かみ”を再現
世界初の利用者の行動を手助けする仮想的なエージェント(Virtual Human Agent)を作れ─。開発元のクーガーは人間の脳を解析し、人間そっくりの人格をAIで再現しようと試みる。年内にもSDKの提供も開始する。
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月額15万円で使える合併・買収仲介サービス
「着手金ゼロ」「成功報酬もゼロ」、約9.2億円の案件が既に実現
企業同士のM&A(合併・買収)を仲介するクラウドサービスを手掛けるのがM&Aクラウドだ。従来のM&A業者の料金体系などの慣習にとらわれず、定額制でしかも買い手企業が売り手を応募するなど工夫を凝らす。
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ユーザー主権型の仮想通貨ウォレット開発
複数のブロックチェーンに対応、DApps への入り口に
Gincoは、一人ひとりのユーザーが複数のブロックチェーン向けに秘密鍵を管理できるウォレットアプリを開発・提供する。DApps(分散型アプリケーション)が普及する時代を見据え、主役の座を狙っている。
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事前注文でPOSシステム連携を実現
モバイルPOSより高速処理、チェーン店の既存システムとも親和性あり
飲食店を中心に事前注文サービス「O:der」を展開してきたShowcase Gigが、POS連携を武器にチェーン店や百貨店、スーパーマーケットなどからの大規模受注に相次ぎ成功している。非飲食業界も熱視線を送る。
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革新の道を駆ける挑戦者ずらり
2018年7月2日、東京・神田で「Nikkei FinTech Conference 2018」が開催された。カンファレンス後半に催されたスタートアップピッチバトルでは、7社のスタートアップ企業が自社サービスやテクノロジーを披露。金融サービスの革新に向けた取り組みが続々と登場した。
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「Table IoT」で飲食店をキャッシュレスに
スマホで事前注文/決済、12言語対応で訪日外国人にも対応
“超”近距離通信でテーブルの位置を特定し、事前注文/決済を受け付ける「Putmenu」。飲食店だけでなく物販にも応用可能な「決済の融合」の新しい形を提案している。
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仮想通貨約1500種類の相場をAIで分析
開発コミュニティの活動状況も把握、売りか買いかを通知する
FACTBASEは、玉石混淆のニュースが飛び交う仮想通貨の相場に関する情報を、AI(人工知能)の力を借りて整理しようと試みる。投資家に役立つ信頼される情報源を目指し、相場動向を表す指数作りにも挑んでいる。
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訪日客に人気、決済を“消した”グルメアプリ
店舗検索から来店予約、注文、決済まで一気通貫で実現
インバウンド向けグルメアプリ「日本美食」が訪日外国人観光客の間で話題を呼んでいる。全国860店舗でキャッシュレスで決済できる点などの利便性の高さがウリだ。決済手数料を負担せずに済む点から、加盟店も増えている。
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「物欲喚起」でローン借り換えを促進
2018年9月までにリフォーム会社300社との提携を目指す
長らく続く低金利を背景に、住宅ローンの借り換えサービスが乱立している。メリットしかない借り換えに動かない層をどうすれば促せるか。WhatzMoney は「需要喚起」の仕組みを構築しつつある。
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現代の“互助組織”が生む新たな連帯
誰でもコミュニティを作成可能、基金を積み立ててみんなで助け合い
BrainCatの「Gojo」は、参加メンバーが資金を出し合い、必要な時に給付金を受け取れるコミュニティサービスだ。サークル活動やファンクラブ運営から保険的要素の濃い仕組みまで、使い方は多岐にわたる。
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日本初のP2P保険、独自スコアも算出
グループで掛け金をプール、人数増えるほど月々安く
日本初となるP2P(ピア・ツー・ピア)型保険「スマホ保険」を近く開始するjustInCase。スマートフォンの画面を割ってしまった場合などの修理費用を補償するサービスで、友人や知り合いが掛け金をプールしあう点に特徴がある。
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組み込み自在の株式取引基盤
目指すは「証券業界のOS」、一般企業も証券サービスを提供可能に
スマートプラスは、2017年末に第一種金融商品取引業者の登録を終えた法人向け証券会社。証券取引を実現するプラットフォームを提供する。一般事業者が自社サービスに、証券取引機能を実装できる時代がやってきた。
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EV充電器普及の秘密兵器はトークン
スマートコントラクト活用でオーナーに利益を還元、目指すは5万台の設置
EV(電気自動車)に欠かせない充電ステーションだが、普及のスピードは遅い。そこで、トークンセールの発想を導入して、オーナー数を一気に増やそうと試みるスタートアップ企業が現れた。
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ヒートマップでサイトの課題あぶり出し
頼るのはデータのみ、独自の分析ツールでサイト改善のPDCAを回す
企業におけるオンラインチャネルの重要性が高まる一方、サイト分析の専任担当者を置く企業は少数だ。UNCOVER TRUTHは独自のヒートマップツールを活用し、サイト改善のPDCAサイクルを一手に引き受ける。
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毎日増減、株価連動のポイント
ポイントユーザーを自社株主に、ロイヤルカスタマー獲得に一役
STOCK POINTは株価連動型ポイントを開発し、ポイントの形を一変させようとしている。ポイント共通化の波で、顧客の囲い込み機能が低下しつつある中、今一度、顧客との長期的な関係構築に役立つ手段にする算段だ。
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新株予約権を活用する株式投資型登場
議決権を渡さない新しいクラウドファンディング、スタートアップ向け融資も視野に
従来の株式投資型クラウドファンディングには、多くの株主を抱えてしまうという弱点があった。エメラダは、議決権のない新株予約権を発行することでその弱点の克服を狙っている。
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未来のエース、レンタル移籍で武者修行
大手企業とスタートアップ企業間で人材を流動化、転職に次ぐ新手法提案
プロサッカーリーグの「期限付き移籍制度」を人材登用の世界に持ち込んだのがローンディールだ。契約先はFinTech企業など約130社。大手企業の社員育成とスタートアップ企業の人材不足を同時に解消しようと試みる。
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1日単位で契約OK、家電向け新保険
原点は保証書管理サービス、65万件の製品基礎データが強み
保証書管理アプリを手掛けるWarranteeが、1日当たり19円から加入できるオンデマンド保険を始めた。大手保険会社にもハードルが高かった保険を実現できた理由は、同社が整備し続けてきた製品の基礎データにあった。
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電子地域通貨で一大経済圏を確立
原資はふるさと納税、過疎地高齢者に電子地域通貨を無償配布
エルブズは、都市の富裕層と複数の過疎地を結ぶ一大経済圏の構築を目指している。鍵を握るのが、複数の地域で利用できる電子地域通貨「エルブズコイン」。ふるさと納税を使った独自のスキームで普及を狙う。
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プロの相場分析活用、IFA型ロボアド
無料でアドバイス、投資一任契約不要で資産は提携先証券会社に預けたまま
リーマンショックの年に新入社員としてリーマン・ブラザース証券に入社したGood Moneyger代表取締役の清水俊博氏。個人投資家が安全に資産を形成できるよう支援するIFA型でロボ・アドバイザー市場に新風を起こす。
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IoTで犯人捜し、自転車盗難保険に新風
外部協力者の力を借りて位置を特定、オークションで買った中古自転車も加入可能
スマホの位置情報を使って盗難された自転車の場所を探し出し、見つからなかったら保険金や見舞金が支払われる新しいタイプの自転車盗難対策サービスが登場している。InsurTechの活用例として注目を集める。
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