海外のFinTechサービスを日本で展開する場合、法規制面で留意すべきポイントを解説する本連載。2回目は、米国で銀行取引・決済サービスを提供するSimpleを取り上げる。人気を博すネオバンクは上陸可能なのか。

森・濱田松本法律事務所 弁護士 早川 翔/岡野 智


Simple

既存銀行と提携して、銀行サービスを提供するネオバンクの代表格。貯蓄支援や支出レポートといった付加サービスも手掛ける。顧客向けの手数料は原則無料で、提携銀行からの利ざやの分配などを収益源としている。

 Simpleは「ネオバンク」の代表格であり、2014年にスペインの大手金融グループであるBBVAの巨額買収に応じたことで話題を呼んだ。

 FinTechの勃興を背景に、昨今、欧米を中心に新しい形態の銀行が次々と登場している。その事業形態は二つに大別できる。

 一つは、新規に銀行免許を取得し、独自に銀行サービスを提供するスタートアップ企業だ。「チャレンジャーバンク」と呼ばれ、顧客に自社の預金口座を開設させて、個人・中小企業向け融資といった商業銀行サービスを提供する。英Starling、英Atom、英Civilised Bankが代表的だ。

 もう一つが、ネオバンクである。提携先の既存銀行のAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を利用して、銀行サービスを展開する。チャレンジャーバンクとの違いは、銀行免許を取得しない点だ。

 顧客と既存銀行との間に立ち、銀行サービスを簡便に提供することが最大の役割である。その代表格が今回取り上げるSimpleや米Movenであり、顧客は彼らの提携先銀行の預金口座を通じて決済や送金といったサービスを利用する。

 Simpleのようなサービスを日本で提供する際に、どんな法規制が問題になるのだろうか。