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 この文章の問題点は、大きく3つあります。まず、1つの文章が長いことです。長い文章は構造が複雑になりがちで、意味をつかみにくくなります。その結果、誤解を生むこともあります。

 次に、接続詞「が」を2回使用していること。「が」は逆説の意味を持つ場合もありますし、単に文と文とつなげるためにも使われます。「が」が2回出てくるとそれぞれがどちらの意味なのかを読み手が無意識のうちに考える必要があり、負担がかかります。

 最後は、「なっているのだが」「できますが」と表現が統一されていないこと。「なっているのだが」に合わせるのなら「できるが」として、文章の末尾も常体(だ・である体)にするのが望ましいでしょう。

 この文章を書いた社員に対しては、まず「一文を短くして」と伝えるのが良いでしょう。「が」で接続する代わりに句点を入れ、1つの文章を簡潔にします。例えば、次のような修正例が考えられます。

 システムの仕様上、顧客に対する説明実績は1人ずつ登録する。もしも3人の顧客に対して同時に説明する場合は、グループ登録機能を使うとよい。3人を同じグループにすると、1回の作業で3人分の説明実績を一括登録できる。事前にグループ登録をしなかった場合は、3人分それぞれの説明実績を個別に登録する必要がある。
豊田 倫子
コンピュータハウス ザ・ミクロ東京
豊田 倫子 ヘルプデスクや検証技術者などを経て、約20年前から教育サービスに携わる。新入社員研修やリーダー研修、マネジャー研修などの企画コンサルティングや教材開発、研修講師、研修運営などを担当する。人材育成研修の受講生は延べ7万人。特に人気の研修が、本セミナーのベースとなっている文章力研修で、これまでに約5000人の文章を指導してきた。日経 xTECH ラーニングの人気セミナー「伝わる文章の査読・指導スキル養成講座」の講師を務める。