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 助詞をよく考えずに使うと、多義文を生みます。多義文とは、複数の意味を持ちうる文章のことです。読む人によって理解が異なると仕事が混乱します。ビジネスの文章では、多義文は避けなければなりません。

 その後輩の方の指導にお勧めの例文があります。「田中さんの本を借りる」という1文です。

 ごくシンプルな文章に見えますが、実は多義文です。後輩の方に、この文章が持ちうる意味を考えさせてみてください。「田中さんが持っている本を借りる」だけでなく、「田中さんが書いた本を借りる」「田中さんのために本を借りる」など複数の解釈ができることに気づくでしょう。

 この文章を、お互い状況を分かっている日常会話の中で使うだけなら、誤解は生まないでしょう。だから後輩の方も、これまで助詞に気を配ってこなかったのかもしれません。

 しかし仕事で書く文章は、必ずしも状況をよく理解している人が読むとは限りません。いつ誰が読んでも同じ意味に理解できる文章を書かなくてはならないのです。

 この例文を使って、部下の方とよく話し合ってみてはいかがでしょうか。

豊田 倫子
コンピュータハウス ザ・ミクロ東京
豊田 倫子 ヘルプデスクや検証技術者などを経て、約20年前から教育サービスに携わる。新入社員研修やリーダー研修、マネジャー研修などの企画コンサルティングや教材開発、研修講師、研修運営などを担当する。人材育成研修の受講生は延べ7万人。特に人気の研修が、本セミナーのベースとなっている文章力研修で、これまでに約5000人の文章を指導してきた。日経 xTECH ラーニングの人気セミナー「伝わる文章の査読・指導スキル養成講座」の講師を務める。