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 「お願いしても期日までに応えてくれない人がいる」という状況は、ほとんどのビジネスパーソンが経験しているのではないでしょうか。スケジュールが思った通り進みませんし、再度もお願いをしなくてはならないのも大変です。担当者がイラッとしてしまうのは無理もありません。

 だからといって、言葉であおるのはお勧めできません。あなたの依頼を軽視していたり、不注意で忘れていたりするとは限らないからです。本業が忙しくて、対応が後手になっていただけかもしれません。

 あなたがその人に対して持ったネガティブな感情は、表情やニュアンスに現れます。それは相手にも伝わり、相手の心にもネガティブな感情が生まれます。積み重なれば人間関係にまで影響します。

 また、人は変化を嫌う生き物です。現状のシステムに慣れてしまっているのに、システムが入れ替わる、新しくなると聞くと、不安を感じる人もいます。それでなかなか作業がはかどっていないのかもしれません。こうしたときにネガティブな言葉を投げかけられると、余計に意欲を失うでしょう。ネガティブな表現で物事をスムーズに進めるはずが、逆効果になってしまいます。

 できれば、ポジティブでやる気を出してもらえるような表現にしましょう。例えば「あなたに作業していただけると助かる」「あなたの知見をぜひ新システムに生かしたい」などと言われれば、悪い気はしないでしょう。こうしてやる気を出してもらい、エンゲージメントを高めることが、組織の生産性を高めることにつながります。

 イラッとすると、つい自分の感情をぶつけてしまいがちです。しかしそこで一歩立ち止まり、立場を180度変えて読み手の立場で考えてみると、より良い表現ができるようになると思います。

豊田 倫子
コンピュータハウス・ザ・ミクロ東京
豊田 倫子 ヘルプデスクや検証技術者などを経て、約20年前から教育サービスに携わる。新⼊社員研修やリーダー研修、マネジャー研修などの企画コンサルティングや教材開発、研修講師、研修運営などを担当する。⼈材育成研修の受講⽣は延べ7万⼈。特に⼈気の研修が⽂章⼒で、これまでに約5000⼈の⽂章を指導してきた。⽇経クロステック ラーニングの⼈気セミナー「伝わる⽂章の査読・指導スキル養成講座」の講師を務める