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 吉山ゆかりはずいぶんと嫌がっていた。檜山は頭を振った。たぶん、これまで定量的品質管理をやったことがないからだろう。だが、これまで通りのやり方を続けていても進歩はない。最近では顧客から品質管理の手法を問われるケースも増えている。

 要求されるまでもなく、自社流のやり方を確立しておかなければならない。檜山の問題意識は単にセミナーで吹き込まれただけのものではなかった。品質問題で何度か痛い目に遭っていたからこそ、自発的にセミナーを物色して参加したのだ。

 しかし―。

 これまでのところ定量評価結果の報告は、うまくいっていない。

 品質評価会議のテーマは、上流の外部設計の品質から詳細設計の品質へ、さらにプログラムの品質へと進んでいた。

 萱森次長が、画面系プログラムの定量評価結果を参照して指摘する。

「ロジックミスが、かなり多く出ているようですが」

「そうですね。画面系のプログラムはバッチ系に比べて難易度が高いので、それで多いのだと思います」

 萱森次長は、疑うように檜山の顔を見た。

「本当にそうですか?詳細設計の品質評価でレビュー指摘密度が目標よりも低く、その説明を求めると、『画面系は単純チェックと項目の移送が多いので低くて当然』とおっしゃいませんでしたか?」

 檜山は返答に窮した。確かにそう説明していたからだ。

「それは、そのう…」

 萱森次長は続ける。

「その説明が事実なら、チェックロジックが中心でプログラムの難易度は低いはずです。難易度が低いのにロジックミスが多いということはつまり、プログラマーのスキルが未熟なことが原因ではないですか?」

「た、確かに」