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 年度初めのグループ長は忙しい。部下全員との「キャリアプラン面談」をこなさなければならないからだ。檜山の会社では、部下の半期業績評価と、次半期の目標設定のための面談を、「キャリアプラン面談」と呼んでいた。

 檜山の場合、部下が7人いるので、面談だけでも結構時間を取られる。山科のように、客先に張りついている部下もいるから、面談の時刻を調整するのは容易ではない。面談が終われば、今度は業績評価シートを書いて、上司と調整し、人事部に提出しなければならない。提出の締め切りは、来週に迫っている。山科を含めて、まだ面談できていない部下が3人。本来なら、急な予定など割り込ませる余地はないのだ。

 檜山は、受話器に向かって頭を下げていた。

「すまん。月曜の進捗会議でそっちに行くから、その時に少し話そう。お前とはいつも会話してるから、そんなに相談することはないよな。うん、そうか。ありがとう。じゃ、そういうことで」

 受話器を置いてため息をついた檜山の鼻先を、小山グループ長が通りかかった。檜山は思わず声をかけていた。

「みんな、一体どうやって回してるんですかね」

 小山グループ長は立ち止まり、驚いた顔を檜山に向ける。