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「だったら、『こなす』なんて言い方してはダメ。どうにかして、部下の話を聞く時間を作らないと。そして、一人ひとりに合わせて、キャリアプラン作成を支援するの。親身になってね。これは必須ミッション。手を抜くと後悔するわよ」
檜山は、相手のけんまくに目をぱちくりさせた。
「はい。確かに…」
「じゃ、私もこれから面談だから。しっかりね」
関谷グループ長は、現れた時と同じように、唐突に去っていった。
檜山は、今のやり取りを見守っていた小山グループ長のほうに、向きを変えた。
「どうしたんですかね、関谷さん」
小山グループ長は、首をかしげた。
「どうしたって…ああ、そうか。君は知らないんだね」
檜山は問い返した。
「知らないって、一体何の話です?」
小山グループ長は、一瞬ためらってから話し始めた。