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 檜山は、言葉を継いだ。

「先般、村内様が仰った通り、進捗・品質管理の情報共有について、お見積もりをいただく際に、きちんと詰めておくべきでした。それができていなかったのは、わたくしどもの責任です」

 檜山の言葉を聞いて、戸田営業部長は首をかしげた。当事者が自ら積極的に責任を認めることはまれだ。そんなことをしたら、その後の交渉に不利に働く。

「しかしながら」

 檜山は顔を上げ、再び戸田営業部長の顔に視線を当てた。

「責任を認めた上で、今後のことについて、あえてお願い申し上げたいのです。村内さんご指摘の通り、本件は請負契約ですから、プロセスの遂行は御社の専管事項です。御社内でお持ちの進捗・品質情報の提出を当方から要求することはできません。しかし、後になって納期や品質に問題が出たら、御社としてもリカバリーに多大な工数が必要になってしまうはずです。そうならないように、相互に情報を共有し、知恵を出し合えれば、どちらもハッピーになるんじゃないでしょうか?」

 それまで黙っていた村内が、ここで口を挟んだ。

「しかしですね。檜山さん…」

「まあ待てよ、村内」

 戸田営業部長が、笑みを浮かべながら言った。