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パートナーとウイン・ウインの関係を築く3つの心得

仁科 何とか解決策が見つかりそうでよかったな。

檜山 はい。Ptソフト開発さんの主任担当者に、富田さんのマネジメントを支援してもらえることになりました。

仁科 吉山も納得しているのかな?

檜山 主任担当者はしっかりした方ですし、自分がやいやい言うより、Ptソフト開発の中で進捗管理や課題管理ができるなら…と言ってましたよ。最新の進捗報告書はかなり改善されていたようです。

1.相手の立場で考える

檜山 村内さん、最初はわかりませんでしたよ。おつきあいの長い村内さんが、どうしてあんなリアクションをされるのか。

村内 びっくりされましたか? 実は社内でもいろいろありましてね。前回の教訓を踏まえ、今回は見積もり想定以上の作業を引き受けないように、担当営業はしっかり動けってくぎを刺されてたんですよ。

檜山 戸田部長に、でしょう。そうなんだろうなと考えたら、村内さんの仰ることが腑に落ちたんです。自社の立場を守って収支を確保するのは当然のことですから。安易に協力するなんて仰るわけにはいかなかったんですよね。

村内 恐縮です。でもあの時は、てっきりクレームを頂戴するんだと思って、冷や汗ものでしたよ。何しろ「部長を連れてこい」でしょう。

檜山 失礼いたしました。そんなつもりではなかったんですよ。

2.上位職者との合意を検討する

村内 私が相手では話にならないので、部長をお呼びになったんでしょうか。

檜山 少し違いますね。村内さんでは話にならないということではなくて、村内さんはきっとお立場上、譲歩できないんだろうと思いました。

村内 確かにその通りでした。実を言うと、社内では「村内が甘い顔をするから、あんなことになるんだ。弱腰じゃないか」みたいな話までありまして。

檜山 それはご苦労をおかけしましたね。たぶんそんなことだろうと思ったものですから、上位職の方とお話ししたほうが早かろうと考えた次第です。

村内 檜山さんがいきなりおわびから入られたので、戸田もびっくりしていました。

檜山 村内さんがきちんと貴社の立場を守ろうとされていること、当社も原則論ではそれに合意していることを誤解のないようにお伝えするためには、弊社の非を認めるほうがいいと思ったのです。もちろん、事前にこちらの上位職とは相談していました。担当者レベルで進まなければ、次はエスカレーションですよね。

3.方針合意後に担当者も交え、本音で話す

吉山 富田さんや村内さんとの話し合いが、案外うまく進んだのは、事前に戸田部長の方針合意があったからなのね。

檜山 そうなんだ。村内さんもだけど、富田さんも苦しかったみたいだよ。自分がうまく切り回せていないのはわかっているのに、誰にも助けを求められなくて。

吉山 近くに同じ会社の主任担当者がいるのに、応援まかりならぬみたいな雰囲気が社内にあったわけね。

檜山 そう。戸田部長が「先々品質問題を起こすよりは、現時点で工数をかけた方がいい」と判断してくださったおかげで、村内さん、富山さんも動きやすくなったんだね。村内さんがうちに甘い顔をしているわけではないこと、うちもPtソフト開発さんに不当に作業を押し付けようとしているわけではないことをご理解いただけてよかったよ。

吉山 富山さんの気心も知れてきたし、今度また飲み会行きましょうね。

檜山 あれ、そっちか?

<挿絵:大久保 友博>
小浜 耕己(おばま こうき)
スミセイ情報システム PMO部 統括マネージャ
住友生命保険で情報システムの開発とプロジェクト管理に従事。スミセイ情報システムに出向後、品質マネジメントシステムを担当し、全社PMOチームの立ち上げに携わる。サラリーマン稼業の傍ら小説家の顔も持つ。高校時代に書き始めて就職後にデビューした。SF、ミステリー、ホラー、ファンタジーなどフィクションの著書多数。日本SF作家クラブ会員、日本文藝家協会会員。