連載第2回を読んだあなたは、すでに自分のマーケティングが大切だと思っているだろう。しかし、実際にどうすればいいのか困っているかもしれない。どうすれば、ソフトウエア開発界の著名人になれるのだろうか。

 簡単だと嘘をつくつもりはない。成功は、一夜にして成るものではない。少なくとも長続きする成功はそうだ。しかし、どの開発者でもマーケティングをすることはできるし、やる気になれば簡単にさえ見えるだろう。ここでは重要なコンセプトをひと通り取り上げておく。

 自分のマーケティングは、個人ブランドから始まる。ブランドとは、あなたが表現するものだ。すべての人のためにあらゆるものを表現するのは不可能なので、自分が何になりたいか、そのイメージを世界にどのように見せたいか、ということを意識的に決めなければならない。また、人と触れ合うときや、あなたが複数回に渡って何かをするときに親しみを感じさせるようにしたい。ブランディングは、そのために役に立つ。

 何らかのブランドを作り上げ、どのようなメッセージを送ろうとしているのかを認識したら、そのメッセージを送る方法を見つけなければならない。メッセージを送り出すための媒体は多数あるが、私がソフトウエア開発者に特に勧めたい最も効果的なものは、ブログである。ブログは、インターネット上のホームベースにすべきだと思う。ブログは、あなたが完全にメッセージをコントロールできる唯一の場所であり、他人のプラットフォームやルールに振り回されることもない。

 私は、非常に尊敬して注目している起業家、パット・フリンの戦略である「Be everywhere」を採用している。その基本的な考え方は、「自分をマーケティングしたい場所にはどこでも現れる」というものだ。あなたがこの戦略を採用すれば、顧客候補が周辺を見回すと、高い確率であなたが見えるわけだ。具体的には、顧客候補のTwitterフィードに顔を出し、登録しているポッドキャストで話をし、オンラインであなたのビデオを見てもらう。顧客候補がどこを見ても、あなたとばったり出会うようになっている。このように自分をマーケティングするための方法を表1にまとめておこう。

表1●自分のマーケティングに使えるチャネル
ブログポスト自分自身のブログでも、ほかの人のブログのゲストポストでもいい
ポッドキャスト自分のポッドキャストを作るか、既存のポッドキャストのインタビューを受ける
ビデオ話題になっているテーマでビデオやスクリーンキャストを作ったりチュートリアルを作ったりしてYouTubeなどのサイトで流す
雑誌記事ソフトウエア開発の専門誌に記事を書く
書籍本を書いたり自分の本を自費出版したりする
コードキャンプほどんどのコードキャンプは、誰でも講演できるようになっている
カンファレンスネットワークを築くための優れた方法であり、どれかで講演することができればなおいい

 この戦略の実行には、時間と一貫性が必要だ。しかし、時間がたつにつれて、あなたの書くあらゆるブログポスト、インタビューを受けるあらゆるポッドキャスト、執筆する書籍や記事がマーケティングに貢献し、個人ブランドの認知度は上がっていく。最終的に、専門分野の権威になって、あなたの動静をフォローする人々が生まれる。その評価がより大きくより良いチャンスを生み出し、最終的にはキャリアの成功につながる。

 しかし、あえて強調しておきたいことがある。それは、あなたがほかの人々にもたらす価値によってマーケティングの成否は大きく左右されるということだ。あなたのことをフォローし、あなたの言うことに耳を傾けたいと人に思わせるための最大の秘訣は、彼らに価値をもたらすこと、すなわち彼らの問題に答えを与え、娯楽さえも与えることだ。他者に価値をもたらすことなく自己宣伝を繰り返しても、誰もがあなたを無視してしまい、大した効果は得られないだろう。

出典:「SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル」(日経BP)の一部を抜粋・編集
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