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 この問いに答える前に、一歩下がって話を続けよう。物理的な世界は実際にどのようにして変わるのかを考えてみる。テーブルの上にブロックがあり、あなたはそのブロックをほかの場所に移したいとする。移すことが可能だと思わない限り、移すことを試そうとさえしないだろう。しかし、移すことは可能だと考え、自分は手を動かし、ブロックを持ち、テーブルからどけることができると考えるなら、あなたは心を使って身体を制御し、その行動を起こすことができる。厳密に言って、これはあなたが信じていることが、現実を形作る力を備えているということではないだろうか。身体を使うことが必要な分、形成力としては間接的だというだけのことだ。

 意識が神経系に信号を送って四肢を動かせる仕組みは神秘的である。確かに化学プロセスや物理プロセスの仕組みはわかっているが、何がそのようなプロセスを引き起こすかについてはわかっていない。私たちがみな持っている、「形のない心」というものが、物理的な世界を直接操作できる仕組み、最初のニューロンに火を付ける仕組みはわからない。

 この仕組みはわかっていると言う人がたくさんいることは、私も承知している。私たちは環境と相互作用を起こしている化学物質の塊で、自動操縦装置がずっと入った状態になっており、完全に環境に基づいて化学的な連鎖反応を起こしているという主張である。しかし、もしそうだとすると、あなたがこの本を読むという選択をすることができるのは、どう説明できるのだろうか。私がこの本を書けることは、どうだろうか。複雑な連鎖反応によって、本を読んだり書いたりする行動は不可避であり、私たちは選択肢を持たずに成り行き任せでこううなっているのだろうか。それとも何かほかのもの、明確にはわからない何か……自由意志すなわち「選択する力」を与えるものがあるのだろうか。