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 研究開発部門に所属する相川さんが、自身が開発中の製品について営業部にプレゼンした。しかし、出席した営業部員はプレゼンをつまらなそうに聞いていた――。前回、この事例を基に、プレゼンで気を付けるべき5つのポイントを紹介しました。

  1. 出席者の興味やニーズを事前に確認/推測する
  2. ミーティングの目的やゴールを冒頭で共有する
  3. 出席者の“世界観”の中での位置を明確にする
  4. 出席者に「心の準備」をさせる仕掛けを埋め込む
  5. ミーティング終了後も興味を持たせる仕掛けを埋め込む

 今回はこのうち、③~⑤について見ていきましょう。

③出席者の“世界観”の中での位置を明確に

 プレゼンの際には、常に出席者の目線に立って道案内をする必要があります。自分が話そうとしている内容は、出席者がイメージする範囲のうちどの部分に当たるのかを示すのです(図1)。そうしないと、出席者は迷子になってしまい、話したいことが伝わりません。

図1●世界観全体のうち、どこに位置付けられる話なのかを明示する
図1●世界観全体のうち、どこに位置付けられる話なのかを明示する
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 「働き方改革」をテーマとしたプレゼンを実施するケースを例に解説します。働き方改革とひと言で言っても、そこには幅広い話題が含まれます。人事労務管理の効率化のために勤怠システムを導入するという話なのか、残業を減らすという観点で効率的に会議をするための会議ファシリテーション術なのかなど、さまざまなテーマが考えられます。

 1時間のプレゼンで働き方改革の全てを語ることは不可能ですので、テーマを絞るはずです。そこで、「働き方改革」という言葉に対して来場者が持っている世界観のうち、今日のプレゼンで話す内容がどの部分に当たる話なのかを最初に伝えることが重要です。

 相川さんのケースでは、研究開発部門が開発中の多数の製品のうち、相川さんの担当製品はどのような位置付けなのかを、プレゼンの冒頭で示す必要がありました。営業部員の視点からすると、相川さんは研究開発部の一員であり、プレゼン対象の製品も多数のうちの1つに過ぎません。戦略的な重点製品なのか、それともあまり重要ではない製品なのか、相川さんから教えてもらわなければ分からないのです。

 相川さんは、当該の製品が開発ロードマップ上どこに位置し、どのような目的・役割を持っているかを説明する必要がありました。もし、その製品が会社全体の製品の中でも重要であることがプレゼンの冒頭で出席者に伝われば、出席者は身を乗り出して聞いていたことでしょう。