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④「心の準備」をさせる仕掛けを埋め込む

 相川さんの開発中の商品は、将来的には営業部員によって販売されるものです。本来、営業部員にとっては、自分の営業成績にも影響する開発中の製品情報は興味がある情報です。それなのに営業部員がつまらなそうにしていたのは、相川さんのプレゼンを単なる事実報告だと捉えていたからでしょう。

 相川さんは、単に開発中の製品の「報告」としてプレゼンを構成してしまいました。もし、「営業部の利益に直結する大切な情報をプレゼンしている」ことが伝わる話し方をしていれば、出席者は自分ごととして興味を持って聞いてくれたことでしょう。つまり相川さんは、「営業部に将来お願いする販売営業の、事前予告の場である」という意識を持ってプレゼンを構成するべきだったのです(図2)。

図2●相手に心の準備をさせる
図2●相手に心の準備をさせる
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 事前予告は、今回のプレゼンだけでなく、継続的に良好な関係を築く意味でも重要です。前もって情報提供しておくことは、営業部員に心の準備をしてもらうための仕掛けと言えます。製品発売が近づいてから「そんなことは知らされていない」「聞いていないから準備できなかった」と言われ、十分な協力が得られないという事態を避けられます。