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 今回は、PowerPoint資料の作成に焦点を置きます。筆者は外資系コンサルタントとして、上場企業の取締役会向け資料など数々のPowerPoint資料を作成してきました。その経験を基に、相手にとって分かりやすい資料を作るコツを紹介します。

 今回も、事例を基に考えていきます。主人公はある建設会社に勤める社会人8年目の市川さん。新卒で技術部門に配属され、ずっと設計業務を担っていました。先日の人事異動で念願の経営企画部へ配属になりました。

 経営企画部に異動して驚いたのは、PowerPointで作成された資料の多さです。これまで所属していた技術部門では図面の作製などがメインで、PowerPointのスライドはほとんど作ったことがありませんでした。しかし経営企画部では、会議資料をはじめほとんどがPowerPointで作られていました。

「何が伝えたいのか分からない」と言われてしまった

 市川さんはある日、上司から「次回の週次部内会議で、Aプロジェクトの進捗報告をする。プロジェクトの状況を説明してほしい」と初めての資料作成依頼を受けます。早速PowerPointソフトを起動して資料作成に取り掛かった市川さん。苦労しながらもどうにかドラフト版を仕上げ、上司へ提出しました。

 しかし上司から返ってきたのは、強烈なダメ出し。「結局何を伝えたいのか、メッセージが分からない」「話があっちこっちに飛んでまとまりがない、全体像が見えない」「文字が多くて、ぱっと情報が頭に入ってこない」と、散々です(図1)。

図1●上司から強烈なダメ出しを受けた市川さん
図1●上司から強烈なダメ出しを受けた市川さん
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 実はこれらの指摘はどれも、「作成プロセス」を工夫するだけで、避けられた可能性があります。