「各スライドには、伝えたいメッセージを書く」。PowerPoint資料作成のコツとして、よく挙げられるポイントです。では具体的にどんなメッセージがよいのでしょうか。
前回に引き続き、建設会社に勤務する市川さんの例を通じて考えてみましょう。外資系コンサルタントとして多数のPowerPoint資料を作成してきた筆者が、ノウハウを解説します。
市川さんは、上司から「週次の部内会議で、ジョイントベンチャー(JV)プロジェクトの進捗(しんちょく)報告をしたい。その資料作成を手伝ってほしい」と言われています。前回、資料に盛り込むトピックを絞り込みました。それをPowerPointにまとめようとして、早速疑問が浮かびました。
「スライドにはメッセージを書いた方がいいと言われるけど、メッセージは多い方がいい?」「大量の情報やデータを、どうメッセージにすればよいの?」「メッセージが断片的にならないような説得力のあるスライドを作るには、どんな工夫が必要なの?」といった疑問です。
トピックごとにメッセージを明確にする
市川さんの疑問に答えるために、今回はPowerPoint資料作成プロセスのステップ2「トピックごとにメッセージを明確にして流れを作る」について解説します(図1)。ここで言うメッセージとは、各スライドに掲載されるデータや情報を通して、最も伝えたい「主張」や「まとめ」のことです。まずトピック(スライド)ごとのメッセージを作り、その上でスライド間の流れを整えてストーリーを組み立てます。
コンサルタントにとって、ステップ2は資料作成プロセスの中でも極めて大事な作業です。ある外資系コンサルティング会社では、スライド上でメッセージを最も目立つ位置(スライドの左上、一般的にはスライドのタイトルが記載される位置)に配置することをルール化しています。それほど、PowerPoint資料においてメッセージは重要な役割を担います。
メッセージ作成は、大きく2つの手順に分けられます。①トピック(スライド)ごとにメッセージを作る、②スライド間の流れを整え、1つのストーリーを組み立てる、です。順に説明します。