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 「各スライドには、伝えたいメッセージを書く」。PowerPoint資料作成のコツとして、よく挙げられるポイントです。では具体的にどんなメッセージがよいのでしょうか。

 前回に引き続き、建設会社に勤務する市川さんの例を通じて考えてみましょう。外資系コンサルタントとして多数のPowerPoint資料を作成してきた筆者が、ノウハウを解説します。

 市川さんは、上司から「週次の部内会議で、ジョイントベンチャー(JV)プロジェクトの進捗(しんちょく)報告をしたい。その資料作成を手伝ってほしい」と言われています。前回、資料に盛り込むトピックを絞り込みました。それをPowerPointにまとめようとして、早速疑問が浮かびました。

 「スライドにはメッセージを書いた方がいいと言われるけど、メッセージは多い方がいい?」「大量の情報やデータを、どうメッセージにすればよいの?」「メッセージが断片的にならないような説得力のあるスライドを作るには、どんな工夫が必要なの?」といった疑問です。

トピックごとにメッセージを明確にする

 市川さんの疑問に答えるために、今回はPowerPoint資料作成プロセスのステップ2「トピックごとにメッセージを明確にして流れを作る」について解説します(図1)。ここで言うメッセージとは、各スライドに掲載されるデータや情報を通して、最も伝えたい「主張」や「まとめ」のことです。まずトピック(スライド)ごとのメッセージを作り、その上でスライド間の流れを整えてストーリーを組み立てます。

図1●PowerPoint資料作成の4ステップ
図1●PowerPoint資料作成の4ステップ
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 コンサルタントにとって、ステップ2は資料作成プロセスの中でも極めて大事な作業です。ある外資系コンサルティング会社では、スライド上でメッセージを最も目立つ位置(スライドの左上、一般的にはスライドのタイトルが記載される位置)に配置することをルール化しています。それほど、PowerPoint資料においてメッセージは重要な役割を担います。

 メッセージ作成は、大きく2つの手順に分けられます。①トピック(スライド)ごとにメッセージを作る、②スライド間の流れを整え、1つのストーリーを組み立てる、です。順に説明します。