「杉下、君には来月から新規事業開発部で働いてもらうことになった」
新しい部署への異動を言い渡され、どこから手をつければよいのか見当もつかない杉下さんが、米国シリコンバレーへの出張で新規事業の開発とは何かを学んでいきます。
「杉下、君には来月から新規事業開発部で働いてもらうことになった」
新しい部署への異動を言い渡され、どこから手をつければよいのか見当もつかない杉下さんが、米国シリコンバレーへの出張で新規事業の開発とは何かを学んでいきます。
最初の顧客が鍵(後編)
ビールののど越しが気持ちよかったのか、森田さんは笑顔で話を続けた。
最初の顧客が鍵(前編)
「スピードだと思います」私の正面の人が熱く語り始めた。「ベンチャーは、規模では大企業に勝てませんから、スピードで負けるわけにいきません。実際、それはうちの生命線です」
知っている人は知っている(後編)
森田さんと入れ替わりにウエイターが特大のステーキを持ってきた。その横にあるマッシュポテトだけで十分にお腹がいっぱいになりそうな量だった。見ているだけでお腹が膨れてくるようだ。
知っている人は知っている(前編)
逆T字の話を聞いた後に森田さんとは別れて、権田さんと伊塚さんと3人でお昼ごはんを食べにホテル近くのステーキハウスに入った。ランチメニューを注文すると、まずはどのメニューにもついてくる大盛りのサラダとスープが配られた。一人ひとりの前に、山盛りの野菜が入った大きなボウル皿が置かれた。
逆T字型(後編)
そう言って森田さんは空中に指で逆T字を描いた。「逆T字型ですか。T字型はよく聞きますが、その逆ですね」「そうだ。人の知識はよくT字型が望ましいと言われる。広い知識を持っていて、1つの専門分野を持てという意味でT字型を目指せと。しかし事業を生み出すには逆T字型が望ましいんだ」
逆T字型(前編)
虎の子の技術の話を聞いて、我が社もビジョンを描く必要性を感じた。文系の方がビジョンを描くのが得意であるとなれば、文系である自分のやるべき仕事だ。今は、早く日本へ戻ってビジョンを描いて、それを目指した新規事業開発の活動をしたい気持ちだった。
虎の子の技術(後編)
前を見ると、見学ツアーの先頭は検査工程のエリアまで進んでいた。我々も後に続いて部屋に入ると、森田さんが私と伊塚さんの間に立って、再び解説をしてくれた。
虎の子の技術(前編)
隣の席では権田さんがうたた寝している。昨日と同じようにバスに乗り込んできたと思ったら、今日は「新規事業の候補は浮かんだか」と言いながら、空いていることも確認せずに私の横の席に座ってしまった。
「やれそう」「やるべき」「やりたい」(後編)
森田さんは歩きながら、手を上に伸ばしたり、肩を回したりしている。私は続けて朝思ったことを口にした。「新規事業を始める条件なんて、経営トップがやれと言うかどうかだけじゃないんですかね」
「やれそう」「やるべき」「やりたい」(前編)
シリコンバレーは夜の10時を回っていた。今頃、日本は日付が変わって翌日の昼2時のはずだ。ホテルのテーブルでパソコンから専務宛てにメールを送信した。こっちに来てから専務宛てのメールとしては最初になる。
理系と文系に分けない(後編)
伊塚さんは、電力市場の自由化の仕組みもよく知っていた。スマートメーターがどのデータをどれくらいの頻度で集めているか。それがアメリカ全体でどれくらいのデータ量になるか。そして、そのデータがどれだけの価値を持つか解説してくれた。
理系と文系に分けない(前編)
ツアーの2日目は、コンベンションセンターで開催されているエネルギー関連の展示会を回った。これまでに建設業界の展示会には行ったことがあるが、エネルギーの展示会は初めてだ。ブースを回っても、どこも名前すら聞いたことがない会社ばかりだ。
顧客の言うことは聞かない(後編)
「顧客第一主義。今風に言えばカスタマーファーストとでも言うのかな。そのためには、顧客のニーズを探ることがとても重要だし、顧客視点を持つことが大事だ」。ここで森田さんは、私の顔を見て笑みを浮かべた。
顧客の言うことは聞かない(前編)
バスに乗ると、後ろの方にしか空いた席がなく、メンターである森田さんとは席が離れた。席に座っていると、小太りの権田さんがバスに乗ってきた。「この席、座っていいかい?」と言いながら、私の返事を待たずに権田さんは私の横の席に座ると、続けて話し始めた。
ほらを吹け(後編)
ホットドッグを食べ終わると、森田さんに午前中のプログラムが終わってからずっと頭に残っていたデータの必要性について聞いてみた。森田さんは、何も言わずに聞いていたが、ホットドッグの最後の一口を食べ終わると、話し始めた。
ほらを吹け(前編)
ツアー初日の集合場所は、シリコンバレーのホテルに隣接するコンベンションセンターの1階だった。ツアー参加者の宿泊先には、そのホテルが割り当てられているので便利でいい。
経営者の危機感(後編)
そのとき、後ろを学生が数人、大声でしゃべりながら通り過ぎた。おやっさんは、彼らが通り過ぎるのを待って話を続けた。
経営者の危機感(前編)
搭乗時刻まではまだ時間があった。空港はシーズンオフのためなのか、思ったほど混雑していない。セキュリティチェックも驚くほどすんなりと通れたし、ゲートの周りは人もまばらだ。