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 伊塚さんは、電力市場の自由化の仕組みもよく知っていた。スマートメーターがどのデータをどれくらいの頻度で集めているか。それがアメリカ全体でどれくらいのデータ量になるか。そして、そのデータがどれだけの価値を持つか解説してくれた。

「電力の使い方で、その家の家族構成や生活スタイルが手に取るように分かるんだよ。実は消費電力の波形でエアコンが何台あるか、最新の省エネタイプなのか、古いエアコンなのかまで分かるんだよ」

 私には、電力波形だけでどうしてそんなことが分かってしまうのか見当もつかない。文系の私には分からないことだらけだと伝えると、伊塚さんは理系でも分野によって全く違うから分かる人ばかりではないと言った。ただ、伊塚さんによれば、電力業界や製造業だけでなく最近は金融でも理系の思考力が求められ始めたということだ。これからはどの職業であれ、理系の考え方が求められるという。

「経済学は、本来は数学的知識が必要だけど、文系に分けられているよね。金融に就職する人も理系が増えてきたとはいえ、まだ主流は文系であることに変わりがない。それが、ネット情報を分析して関連する株の売買で利益を上げるプログラムが出てきて、プログラムの出来の良しあしが、証券会社の業績を左右するほどになってきたよ」

「さらにフィンテックの出現で、金融も理系の知識がなくてはならない状況になった。ビットコインなどのネット上の仮想通貨ですべてが済むようになったら理系の世界になる。少なくとも世界はその方向に進んでいる。このままだと日本の金融はガラパゴスになるだろうな」