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「自動車がネットワークにつながって、動くスマホに変わる話も驚きでした。提供する情報で価値が決まってしまう。あるいは自動運転になったら、車中のエンターテインメント性で車が選ばれてしまうかもしれない。もちろん事故を起こさない快適な乗り心地は自動車メーカーが提供するけど、その点が当たり前になってしまえば、競争力にはならない。むしろその上に乗っかってくるエンターテインメントのような別の価値が自動車を選ぶポイントになるということでした」

「だから自動車メーカーも別のサービス会社と手を組む必要が出てくると森田さんは言ってました」と伊塚さんは付け加え、さらにITベンダーらしくIoTの最近の動向を話してくれた。

「そのうち自動車は町中の情報を集める機械になってしまうかもしれませんね。まさにIoTの主役になるでしょう。でも自動車以外でもIoTの動きは活発です。デパートや農地もIoTでデータを収集する動きがあります。デパートに来た買い物客が歩く順路をトレースして、どこで滞留して、どこで買い物するかを分析するんです。そうした行動分析ができれば、順路を誘導することで買い物する人を増やすことができます。まだ実験段階ですけど、デパートによっては、買い物しているときの視線を分析することも始めています。ベンチなんかも利用状況を把握して、その時のしぐさや表情などから快適に買い物しているかを判断するのに使うんですよ」

「コンビニでも店内を歩くルートを分析してるけど、デパートとなるともっと大がかりだな」

 権田さんも、IoTの広がりに驚きを隠せない様子だ。

 伊塚さんは話し続けている。