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「とにかく世界中に網を張って、いろんな情報を収集することだよ。調査して回る調査部みたいなのがあるといい。例えば、コマツはCTO(最高技術責任者)をサポートするCTO室を置いている」

 世界中を調査して回る部隊か。とりあえずは、新規事業開発部が担当するのが妥当かな。そもそも新規事業開発部は、何人になるのだろうか。

 伊塚さんが、かつて技術を探して頼んだことがあるという企業マッチングを支援している会社の話をしてくれた。

「しばらく前なんだけど、ある技術を持っている企業を探していて、企業のマッチングを手伝ってくれる会社に頼んだことがあった。全国にネットワークを持っていて、中小企業まで含めて、技術を指定するとその技術を持った会社を探索してくれるんだ。彼らによると、ウェブをいくら探しても、そういう情報は出てこないから意味がないというようなことを言っていたよ」

「ウェブの情報に意味が無いんですか」

 私は思わず聞き返した。

「表面的な情報を集めるには便利だけど、とんがった技術を持っている企業を探すとなると意味がないということだよ」

「それって、どういうことでしょう」

「中小企業は、ウェブに最新情報を掲載しないそうだ。理由は3つあると言っていたかな。1つは、顧客との契約があって出せないってこと。その分野の最先端の技術は、顧客からの要望に応える形で開発していることが多いから、顧客に情報を掲載するなと言われれば、ウェブには掲載できない。顧客あっての技術だから。

 次に、情報を掲載すると真似されてしまう可能性があるから、載せないケース。最後に、そもそもウェブを更新している暇がないことだ。最新技術の開発担当者は仕事が忙しくてウェブ更新にまで手が回らないことが多いんだと」