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 権田さんも企業マッチングの会社を知っていた。

「私もその会社の話は聞いたことがあるよ。全国に約1700人いるコーディネーターとのネットワークを作り上げたらしい。そのコーディネーターは各地域の中小企業と信頼関係を築いているから、中小企業も安心して話をする。ウェブに載せられない情報もコーディネーターには話すそうだよ。コーディネーターが中小企業のために活動していることを分かっているんだ。彼らから集めた情報の中から、ニーズに合う相手を絞り込んでいくというわけだ」

「それはすごい仕組みですね」

 情報があるところにはあるということか。

 いろんな国へ足を運び、信頼を得て、情報のありかを知っている人とネットワークを作っていくということだ。

 そこにたどり着くまでアプローチを続けるしかない。

「でも、技術さえあればいいパートナーなのかというと、そういうことではない」と権田さんが言った。

「それはどういうことですか」

 権田さんは説明してくれた。

「例えばオムロンは、パートナー企業を技術の有無だけでは決めていない。課題解決について共感できていなければ、どこかで無理が生じるという考え方だな」

 確かに企業同士が提携するときに向いている方向が違っていたら、たとえ技術があってもうまくいかないだろう。

「コニカミノルタもその辺の考え方は同じだ。パートナーを選ぶときには、価値観を共有できるパートナーなのかを判断しているそうだ」

 IoTの時代には、パートナー企業が必要だ。これは建設会社にも当てはまる。候補は世界中を対象に手を尽くして探す。自力ですべて探すのではなく、並行して、いろいろな企業の情報を持っている人とのつながりも視野に入れる。そして、パートナー選択においては、同じ価値観を共有できるかが鍵になる。建設会社に求められていることを一緒に探さなければいけない。エレベーターに求められているものが何かを探すように。

 でも、最初にやるべきことは、解決すべき社会的課題を決めること。これを決めなければ、他社と共感することもできなければ、仲間を募ることもできない。

 そのことを心に刻みながら、ステーキを一切れ、口に運んだ。


日経BP総研 クリーンテック研究所
日経BP総研は、日経BPが持つ総合研究所。クリーンテック研究所は、その一部門。環境・エネルギー、交通、IoT(Internet of Things)、スマートシティなどを含め、広範囲に及ぶ社会的課題解決をテーマとする。企業・産業の意思決定や国の政策決定への貢献を目指す。2010年設立。

ドリームインキュベータ
戦略コンサルティングを通じて、日本企業とともに社会のあり方を変えるビジネスプロデュースを実践。戦略コンサルティングスキルという、ビジネスにおける最も普遍的で有益な根源的スキルをベースとして、そのスキルを顧客企業へのサービスだけでなく、自社の投資・インキュベーション・事業経営にまで展開することで社会のあり方を変え、日本経済を元気にするビジネスプロデュースに取り組む。