今回からは出来の良くない資料をレビューして修正する具体例を使って、ドキュメント構造を活用した資料作成のポイントを解説する。
図1に示す例文を見てほしい。この文は、既存システムに対する追加開発の見積もりを行ったときに起きた問題について検討し、再発防止のための対策を説明したものである。
よく書けている資料なら、最初から終わりまで後戻りすることなく読んで内容を明確に理解できる。しかしこの資料のように、一度読んだくらいではさっぱり理解できないことは多い。
ここまで出来が悪い場合、細かい指摘をしてもきりがない。よく使われるドキュメントの構造を当てはめて理解し、改善の指針を示すほうがよい。
図1のような改善提案の資料の場合、よく使われる基本の構造を覚えてほしい。問題点の明確化、原因の分析、解決策の提示、の3つの項目からなる構造だ。問題が単純な場合や繰り返さない場合には、原因の分析の項目は省略できる。
この構造を頭に入れて例文を見ると、前半で問題を2つ指摘し、後半に解決策を2つ示している図2の構造のように見える。しかしこの観点からすると不思議なのは、対応策に対応する課題1と課題2を逆順に記述しているところだ。