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 本コラムで紹介している「ストラテジックライティング」の手法は、ロジカルシンキングをベースとした資料作成の方法である。目標とするところは、「読み手を納得させる」資料を作ることにある。

 これまで、様々な論理構造の組み立て方とその資料作成への応用について説明してきた。こうした情報の構造と「ロジカル」はどう関係するのだろうか?また、ロジカルな資料を作れば読み手が納得するのだろうか?今回はこうした根本的な疑問点に改めて説明を加えて、基礎固めをしたい。

 戦略コンサルタントが作成する提案資料などを見たことのある人なら分かると思うが、彼らは非常に説得力のある資料を作ることができる。この説得力の源泉はロジカルシンキングに基づく、フレームワークを利用した情報構造化にある。今回から数回にわたって、この説得力を生み出す原理を説明していく。

 最初に、基本となるロジカルな構造について解説する。

 ロジカルシンキングを日本語に訳すと「論理的な思考」となるので、論理学に基づくと勘違いされることがあるが、実は関係ない。今日の論理学は数理論理学と呼ばれ、数学の基礎をなし、中学数学から登場する。命題、真偽、必要十分条件、などの用語を覚えていると思う。

 一方ロジカルシンキングは、戦略コンサルティング会社の出身者によって紹介された、経営者を納得させるための資料作成手法のことである。2000年ごろに日本に紹介されると、ビジネスの世界で瞬く間に広まった。

 ストラテジックライティングは、ロジカルシンキングを情報構造変換の考え方で理論性を高めた手法だ(図1)。この中で、「論理的」ということの意味を明確にしている。

図1●数理理論理学とロジカルシンキング
図1●数理理論理学とロジカルシンキング
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