全2109文字

確度の高い情報で結論づける

 こうした基本的な論理構造を理解していないと、提案や報告で相手に納得してもらうことが難しくなる。提案や報告に納得してもらうことは、示した根拠から結論を導くことに合意を得ることだからだ。

 ときどき、根拠は事実で結論は意見や主張だという説明を見ることがあるが、それも正しくない。前述の例でいえば、総武線が遅れていることは、意見や主張というわけではない。実際に総武線が遅れているのであれば、事実である。

 例題の発言における根拠と結論の関係は、実際にどうかという話ではなく、発言の表現からどちらのほうをより確度の高い情報として扱っているかで判断すればよい。

 発言者は、メンバーの遅刻を確度の高い事実として扱い、そこから確度が高くない列車の遅延の仮説を導いている。つまり論理の構造は、より確度の高い情報(根拠)を使って、確度の低い情報を結論づける、あるいは、主張するということである。

 以上で論理的な情報の構造がどんなものかは分かってもらえたと思う。次回はさらに、どうやって納得してもらえる論理を組み立てるのかの解説に進む。

林 浩一(はやし こういち)
勝負ドキュメント研究所 代表、ピースミール・テクノロジー 顧問
林 浩一(はやし こういち) 富士ゼロックス、外資系データベースベンダーを経てウルシステムズに入社。自治体・大企業のシステム内製化とPMO に特化した関連会社として同社を設立、初代社長に就任。現在は、代表を退き顧問として同社社内の人材育成を主に活動しつつ、社外の技術者のスキル向上のために勝負ドキュメント研究所を開設。