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 前回に続き、営業支援システムを例に、AIシステム構築のプロセスを見ていきましょう。

(3)設計フェーズ

 今回は、(3)設計フェーズからです。A社が導入するAIシステムは、「(I)受注確度予測の機能群」と「(II)モデル管理の機能群」の2つの機能群で構成されています。これらの機能群について、A社が基盤設計、アプリケーション設計の観点でどのような検討を行い、実装レベルの設計に落とし込んでいくのかを説明していきます(図1)。

図1●AIシステムを実装レベルの設計に落とし込んだケース
図1●AIシステムを実装レベルの設計に落とし込んだケース
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AI基盤設計

 AIシステムの基盤構築にあたり、「何で構築するか」と「どこに構築するか」は、スペックと併せて検討すべき主要テーマとなります(図2)。

図2●AIシステムの基盤設計時に検討すべき事項と選択のポイント
図2●AIシステムの基盤設計時に検討すべき事項と選択のポイント
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 まずは「何で構築するか」から見ていきます。A社では、AIシステムの初期段階は導入規模を限定し、本番運用を開始後にAIの業務上の有効性を検証したうえで、今後の拡張範囲を検討することにしました。

 少しずつ規模を拡大できるようにするため、必要に応じて個別の製品やライブラリーなどを段階的に導入する「組み合わせ型」でAIシステムを構築することにしました。ただし内部・外部環境の状況により、コストをある程度かけても導入スピードを優先したい場合は、AIの導入に必要なソフトウエアを事前に組み合わせてトータルソリューションとした「ワンストップ型」の製品を導入する方法もあります。

 構築する手段とともに、検討すべきなのが「どこに構築するか」です。A社が導入するAIシステムはスモールスタートを前提とし、今後の拡張の可能性を保留していますので「クラウド型」で導入することが向いていると判断できます。社内のネットワーク環境などによっては「オンプレミス型」で導入する可能性もあります。

 (I)受注確度予測の機能群と(II)モデル管理の機能群の配置環境は、両者が必要とするシステムリソースの規模や実行頻度を基に検討した結果、A社では同一環境へ配置することにしました。システムリソースの要求が両者で大きく異なる場合や、実行タイミングが重なる可能性がある場合には、それぞれ別環境に配置することも考えられます。