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 クラウドコンピューティング(以下、クラウド)とは、「“とある”データセンター内にある、“とある”サーバーのコンピューティング資源(リソース)を利用すること」である。“とある”というのは、利用者が実際の場所を関知しないことを意味する。データセンターやサーバーがどこにあるかを意識せず、計算性能やストレージ、ネットワーク機能などを利用できる。

 クラウドが登場する前は、企業は自社内にサーバーを設置したり、IT企業などが所有するデータセンターのサーバーを利用したりする必要があった。いずれにしても、必要なコンピューティングリソースを自社で手配してシステムを稼働させなければならない。

 これに対してクラウドでは、サービスの提供企業がコンピューティングリソースを用意する。ネットワークを介してその環境に接続すれば、必要なときに必要な分だけ利用できる。つまり、利用者は事前にコンピューティング環境を準備する必要がない。

 クラウドの市場は急速に拡大している。総務省が公開する「平成30年版 情報通信白書」によれば、国内でクラウドを利用している企業の割合は、2017年時点で56.9%。2013年は33.1%だったので、4年間で20ポイント以上増加している(図1)。

図1●クラウドを利用している企業の割合
図1●クラウドを利用している企業の割合
(出所:総務省「平成30年版 情報通信白書」)
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 もはや、情報システムの導入や設計、移行に際して、クラウドを採用することはもはや当たり前の世の中になっている。情報システムの開発者だけでなく、新事業や研究開発のためのシステムを企画・検討する人にとっても、クラウドは理解していなくてはならないものになっている。

 だが、今や「クラウド」という言葉は様々な意味で使われ、その本質が何なのか分かりにくい側面がある。そこで、クラウドの定義を改めて確認しておこう。