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 ここまで、クラウドの仕組みやメリット・デメリット、クラウドサービスの種類について見てきた。これらを踏まえて、最終回となる今回は代表的なクラウドの用途について解説する。

 クラウドは今や、多岐にわたるシステムで活用されている。キャンペーン用のWebサイトのように一時的なものから、官公庁や金融機関のシステムのように堅牢性が求められるシステムまで用途は幅広い。

 その中でも、特にクラウドが有効な3つの用途を紹介しよう。IoT(インターネット・オブ・シングス)、AI(人工知能)、ゲームである。

クラウドがあったからこそ盛り上がったIoT

 最初に取り上げるのは、IoTシステムである。なぜIoTにまず言及するかといえば、ここ数年のIoTの台頭は、クラウド無くしては成り立たなかったからにほかならない。

 IoTでは、これまで単独で動いていたデバイスをインターネットに接続する。それによってデバイスを制御したり、デバイス上で処理していたデータをクラウド上に集約・解析したりする(図1)。

図1●様々なデバイスから送られる大量のデータを処理・蓄積し、解析するIoTシステムには、クラウドが適している
図1●様々なデバイスから送られる大量のデータを処理・蓄積し、解析するIoTシステムには、クラウドが適している
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 これを実現するには、デバイスから送られる大量のデータをリアルタイムで扱うストリーム処理、データ量に応じてコンピューティングリソースを柔軟に増減するスケーリング機能、集約したデータを解析するビッグデータ用データベース機能などが必要になる。

 これをオンプレミスで実現するのは、現実的ではない。情報通信白書(平成30年度版)では、2020年にはIoTデバイスの数が400億を超えるとも予測されている。加速度的に増加するデバイスに耐え得る環境をオンプレミスで用意するのは大変だし、やり取りするデータ量に応じてコンピューティングリソースを変動させるのも容易ではない。クラウドなら、こうした課題に対処しやすい。

 ビッグデータ活用にもクラウドが向いている。IoTデバイスが日々収集するデータの形式は多種多様で、ビッグデータ処理では様々なデータを掛け合わせて分析する必要がある。これには、従来型データベースはそぐわない。クラウドは、こうした多様なデータを一元的に管理する機能(「データレイク」などと呼ばれる)を備えている。集めたデータをとりあえずクラウド上のデータレイクに保存しておき、解析に使える。