全4933文字
PR

 第11回で堀井さんが経験した提案プレゼンは何が良くなかったのでしょうか。ひと言で表すと「顧客視点になっていない」ことが最大の問題です。まずは身近な例として「スマートフォン」を取り上げ、FeatureとBenefitはそれぞれどのようなものかを説明します(図1)。

図1●FeatureとBenefit
図1●FeatureとBenefit
[画像のクリックで拡大表示]

 スマートフォンの場合、Featureに当たるのは「製品やサービスの仕様(スペック)」です。CPUのコア数や動作周波数、メモリーやストレージ容量、OSの種類、搭載している機能、内蔵カメラの画素数、通信速度、サイズや重量、端末の色、端末価格、料金プランといった、製品カタログの後ろにある仕様表に書かれているような情報が該当します。

 Benefitは、顧客にとっての利益です。スマートフォンを買い求める人が抱えている悩みや期待によって決まるもので、顧客ごとに異なることがポイントです。例えば、会社のメールを読むために、わざわざ外出先から会社に戻っているビジネスパーソンがいたとしましょう。恐らく「移動時間がもったいない」と思っていますので、こういう人にとっては「外出先から会社のメールにアクセスできるようになり、移動時間を削減できる」ことがBenefitとなります。

 別のビジネスパーソンは、毎日ノートPCを持ち歩いており、荷物が重くて肩が痛いことに悩んでいるかもしれません。こういう人には「代わりにスマートフォンを持つことにより、荷物を減らして肩の痛みを軽減できる」ことがBenefitとなるでしょう。

 さらに、子育て中の母親なら「GPSを使って子供の居場所をいつでも確認できる」ことがBenefitになりそうです。持ち歩く荷物が多くて財布を取り出すのを面倒に感じている人には、「電子マネー機能を使ったスムーズな支払い」がBenefitとなり得ます。

 多くの場合、人は自分が抱えている課題や問題の解決にフィットするBenefitに対して、お金を払う価値があると感じるものです。Benefitは、一人ひとりの価値観や置かれた環境に応じて千差万別です。このため、Benefitの表現は一人ひとりに合っていることが必要です。