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 続いて、PMがやるべき本来業務について、もう少し詳しく見ていきましょう。メンバーに仕事を切り出すことで確保した時間を使って、どのようにプロジェクトを進めていけばよいでしょうか。掛川さんの仕事を、もう少し追ってみましょう。

失敗の構図:「予定厳守」と吠えるPM 現状把握と対策が後手になってしまう

 人事部の福山主任を交えた週次進捗会議の席上、中村SEが、帳票設計作業の進捗状況を報告している。

「えーと、予定対比で見ますと、帳票定義書の作成は難航しています。これは、データ受け渡し形式の再検討が進んでいないためで、予定しておりましたユーザー・レビューの余裕もなく…」

 掛川PMは、福山主任の浮かぬ顔にちらりと目をやると、たまりかねて声を出した。

「ちょっと待て、中村。難航してるって、どういうことになってるんだ?先週の定義書作成完了予定は4本、レビュー予定も同じく4本だったが、それがどこまで終わったのか報告しろよ」

 中村は、ごくりと唾を飲み込んでから、答えた。

「えー、定義書の作成はそれぞれ9割方進んではいますが、完成は、その、1本も…」

「何だと」

 苛立った掛川は、平手でデスクをたたいた。

「完成が1本もないってことは、レビューも全部流れてしまったということなのか?」

 中村は、落ち着かなげに報告資料をいじった。

「あ、はい。そういうことです」

 掛川は、横目で福山主任の表情をうかがいながら、中村を問い詰める。

「どうしてそんなことになったんだ?スケジュール厳守だと言っておいたじゃないか。ユーザーの皆さんには、無理してレビューの時間を取っていただいているのに、いったいどういうつもりなんだ?」

 中村の顔が赤くなる。

「帳票設計ツールのパラメータ設定がうまくいっていません。インタフェース仕様の問題で既存帳票のデータがうまくインポートできず、その結果、帳票サンプルを作成できなかったんです。急遽、手作業でパラメータ設定をしているところで…」

「それで、今日中には何とかなるのか?」

 掛川の質問に、中村の声がますます小さくなった。

「今日はたぶん、ちょっと無理です。火曜日か水曜日には何とか準備が整うと思うんですが」

 掛川の怒りが爆発した。

「何寝ぼけたことを言ってるんだ。既にスケジュールに遅れてるんだぞ。土日もあったのに、これまで何をしてたんだ。今日中に何とかしろ」

 中村は顔を上げたが、掛川の剣幕に気押され、何も言わずにまたうつむいてしまった。福山主任は、そんな2人をあきれたように眺めていた。