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 次は振り返りです。プロジェクトの振り返りでは、課題解決が大事な目的です。

振り返り 「みんな頑張った」では役に立たない

 ここは、シロカネ・ソフトウエア社内の会議室。BP物産の管理会計プロジェクトに携わった開発部門、営業部門の面々が顔を合わせている。

「今回のプロジェクトでは、お客様のオーナーがしっかりしておられたよね」

「うまく光石専務を引っ張り出した営業の功績だな」

「いやあ、開発の皆さんも、しっかり責任を果たしてくれたからだよ。PMも信頼されていたしね」

「ちょい待ち」

 太田PMは、和やかな雰囲気の会話に割って入った。

「せっかくの振り返り会なんだから、お互いにたたえ合ってばかりいても仕方がないぞ。次につなげるために、うまくいかなかったところも含めて振り返ってみようよ。例えば、何とか事なきを得たけれど、要件定義でのニーズ引き出しがうまくいかなかった点があったと思う。勘定科目コードのチェックの話は、もっと前に検討しておくべきだったよね」

「そうでしたね」

 チーム・リーダーの草薙が、残念そうな顔になった。

「あれは、ヒアリングのスケジュールが押してきて、3回分飛んでたんです。リスケジュールが難しかったので、仮業務フローの机上レビューに切り替えたんですが、勘定科目コード機械チェックもその中にあったんです。結果から見ると、後で大汗をかきましたね」

「対面でのヒアリングを省略したツケが回ってきたってことだね。僕もそこを甘く見ていた。そういえば、この件、経理部長さんがステコミの場で『卓袱台返し』に出るという情報もキャッチできていなかったね。営業担当として、そこはどう?」

 担当営業の三崎は舌を出した。

「別件の提案があったんで、正直言ってBP物産さんからは足が遠のいてました。夏ごろに、一度懇親会をセットしようとしたんですが、先方の社内規定の関係で、接待はダメだと言われてしまいまして。月に1回程度でも、パイプはつないでおくべきでした」

 草薙が、急に思い出したように言った。

「そういえば、お盆明けに、経理部長がおっしゃってました。最近、三崎さん顔見せないねって」

「本当に?すぐ知らせてほしかったなあ。きっとそのときから、何か言いたいことがあったんだよ」