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 ここまで、「プロジェクトとは何か」「プロジェクト・マネージャの仕事とは何か」というお話をしてきました。それを踏まえて、プロジェクトの計画とは何かという論点に進んでいきましょう。テーマは「よい計画、ダメな計画」です。ここでも、プロジェクトを構成する要素「目的・目標」「期限」「独自性」という三つのキーワードを考慮すると、おのずと「プロジェクト計画」が備えるべき条件が見えてきます(図1)。

図1●プロジェクトの3要素とプロジェクト計画の考え方
図1●プロジェクトの3要素とプロジェクト計画の考え方
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 一つ目の要素は「プロジェクトの目的・目標が定義されていること」です。プロジェクト・マネージャ(PM)は、「プロジェクトの目的・目標を達成するために…」という価値判断の基軸を持ってプロジェクト・マネジメントに臨みます。プロジェクト計画も、そのための道具です。

 まず、何を計画するのかが問題ですが、答えは「目的・目標達成に必要なすべて」です。ちょっと漠然としすぎているでしょうか。言い方を変えれば、「スケジュールを立てることが計画だと思ってはいけない」ということです。プロジェクトを運営するためには、スケジュール以外にもさまざまな仕組みが必要です。例えば、会議の運営一つとっても、どんな目的で、どんな定例会議を実施するのか、会議の参加者は誰が適切か、会議資料を何にするかなど、計画しなければいけないことはたくさんあります。

 そのほか、プロジェクトの体制や役割分担をどうするか、決定事項やそれについての変更をどう管理するか、品質確保のための目標値やレビュー方法をどうするか─。これらをすべて計画するのです。

 目的・目標の達成を判断基準にして計画を立てるときのPMの思考過程は、例えば次のようになります。「納期を守って、ユーザーに役立つソフトウエアを納品するためには、一定の品質を確保しなければならない」→「そのためには、品質を管理するプロセスを確立する必要がある」→「どの程度の品質が必要だろう。その品質を確保するために、どんなトレーニングや標準化が必要だろう。誰がどうやってレビューすればいいだろう」。こうした考え方に沿って、「トレーニング」「標準化」「品質目標」「レビューの方法と完了基準」などを計画するわけです。