ユーザーの担当者にプレゼンをしたら「ピンと来ない」「イメージがわかない」「うちには合わない」と反論を受ける。内容には自信があるのに―。こうした経験はないでしょうか。受け入れてもらえない状況が続くと「嫌われているのでは」「自分の能力が低いのでは」という気持ちになります。
しかし、実際の理由は別のところにあります。「信頼残高」が積み上がっていないのです。信頼残高とは信頼関係の強弱を銀行口座の残高に例えた造語です。書籍「7つの習慣」の著者であるスティーブン・コヴィー氏が提唱しました。礼儀正しい態度、約束を守る、親切、期待を裏切らないといった行動が預け入れに、その逆の行動が引き出しに当たります(図1)。行動の積み重ねが残高になります。
プレゼンテーションはプレゼンス(話し手の存在感)、コンテンツ(話す内容)、デリバリー(伝え方)の3つの要素の掛け算です。信頼残高はプレゼンスに大きく関わります。信頼残高が蓄えられた相手であれば、話したことを受け入れてもらいやすくなります。「同じことを自分が言うと反論されるのに、あの人が言うとなぜか通る」というのは、多くの場合で信頼残高が原因です。
信頼残高を蓄えるとプレゼンだけでなく、仕事全般の受け入れられやすさも高まります。結果として生産性向上にも結びつきます。仕事で接する相手に対しては、信頼残高を早く蓄える意識が必要です。