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 第6回は、中川さんの図を題材に、長方形の使い方を解説しました。今回は、中川さんの図に出てくる、吹き出し、爆発マーク、矢印という図形について考えてみたいと思います(図1)。

図1●開発のタスクごとの作業主体を表した見にくい図
図1●開発のタスクごとの作業主体を表した見にくい図
システム開発のタスクごとの作業主体を、四つのフェーズに分けて表した図である。いろいろな種類の図形を使ったことで、分かりにくくなっている
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 まずは、吹き出しです。中川さんは、「設計・開発」「システムテスト」「運用テスト」「移行リハーサルと本番運用」という四つのフェーズを吹き出しとして表現しました。これに、違和感を覚えた方がいるのではないでしょうか。

 吹き出しは本来、特定の箇所についての説明・注釈や人の発言を表します。そのため、吹き出しの尖った部分が指し示すもの(人)がはっきりしないと、見る側は戸惑ってしまいます。どこを指しているのかはっきりしない吹き出しはタブーだと考えてください。

 中川さんの図であれば、吹き出しの図形を使わず、「設計・開発」「システムテスト」「運用テスト」「移行リハーサルと本番運用」という文字要素をそのまま図に配置すればよかったのです。図中に置く図形の種類を無駄に増やす必要はありません。

 爆発マークについては、インパクトが強く目立つので、重要な問題や欠陥など強調したいネガティブな要素を表すためによく使われているようです。中川さんは「コスト削減効果」というポジティブな要素に使っていますが、ネガティブな意味のように見えて紛らわしいので、やめたほうがいいでしょう。

 強調したいネガティブな要素を表すためであっても、とりわけフォーマルに仕上げたい資料では、爆発マークを使わないことをお勧めします。爆発マークを使うと、どうしてもマンガっぽく見えてしまうからです。爆発マークの代わりに、「!」のような記号を配置すれば、マンガっぽくなるのを軽減できます。

 同様に、星形やリボンなどの奇抜な図形も避けたほうが無難です。図を見る側に対して、奇抜な図形はいい印象を与えないものなのです。