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 プロジェクトの終盤になって、利用部門が仕様変更を求めてきて、大きな手戻りが発生した。その原因をたどっていくと、要件定義のとき利用部門から要求を十分にヒアリングできていなかったことに行き当たる場合があります。プロジェクト序盤でのボタンの掛け違えが、後々仕様変更という形になって表面化した、というわけです。

 利用部門が抱える根深い問題を解決するには、システムに対する要求を掘り起こすような高いレベルのヒアリング・スキルつまり「聞く力」が必要です。要求を掘り起こせなければ、冒頭のような大きな手戻りにつながりかねません。

 本講座では、筆者がこれまで試行錯誤しながら現場で培ってきた実践的なヒアリング・ノウハウを、「準備」「実施」「クロージング」という三つのステップに分けて解説していきます。いずれも、ヒアリングを効率化したり、相手の信頼を得てやる気を高めてもらったりするための工夫です。この第1回では、ステップ1「ヒアリングの準備」におけるノウハウを解説します。日経システム社のSE、山田さんが、利用部門から現行業務の問題をヒアリングする場面を取り上げますが、本講座で取り上げるノウハウは要件定義の工程を通して使えます。