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 はじめに、「地盤」という言葉の意味から検証してみましょう。「地盤」という表現を日常生活で使うことはほとんどないのではないでしょうか。むしろ「地面(地べた)」や「土地」という言葉のほうが生活に溶け込んでいます。

 「足が地についた」とは言いますが、「足が地盤についた」とは言いません。ある広さの更地が売買される時は、その地面のことは「地盤」とは言わず「土地」と呼ばれ、面積や接道の状況、駅からの距離などの利便性が評価の対象となり、坪単価が決定されます。この言葉を使うのは不動産会社です。

地面を示す様々な言葉

 ところが、同じ更地でも、そこに構造物を建設しようとするときは、「土地」ではなく「地盤」と呼ばれるようになります。この言葉を使うのは、主に建築・土木の設計や施工に携わる人たちです。

 我が国の代表的な辞書の一つで「地盤」という言葉を引くと、「工作物その他を据え置く基礎となる土地」となっています。土地と地盤が混同されていて、ちょっと苦しい説明です。同じ地面であっても、見方によって「土地」になったり「地盤」になったりするということを、まず押さえておきましょう。蛇足ですが、農業土木の世界では「土壌」という言葉が使われます。野菜が育つ地面は「土地」でも「地盤」でもなく、「土壌」と呼ばれます。

図・敷地を表す言葉は様々
図・敷地を表す言葉は様々
同じ敷地地面であっても、見方によって「土地」になったり「地盤」になったりする(図:髙安 正道、日経 xTECH)
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