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 高層ビルを建設するのであれば、何も対策を取らずに基礎工事に着手する人はいないでしょう。しかし、戸建て住宅を建てる時には地盤はそれほど重視されていません。地盤が構造材であるという認識が乏しいばかりではありません。戸建て住宅が軽量であるためです。

 重量構造物の地盤調査だけを専門に手掛けていたある技術者が、「戸建て住宅が沈下するなどとは思ってもみなかった」と述懐するのを聞いたことがあります。様々な建築物の中では、戸建て住宅は確かに比較的軽い構造物です。そんな建物ですら沈下してしまうほど強度の足りない地盤が現実にはあります。

 沈下は、地盤の強度が建物の荷重よりも小さいときに発生します。戸建て住宅は単に軽いばかりでなく繊細です。些細な負荷が建物全体に影響し、無視できない不具合となって現れます。強度が大きい部材だけで構成される重量構造物では考えられないような微妙な変形が生じるのです。

建物の荷重と地盤の力比べ

 戸建て住宅は基礎を介して地盤と接するように建設されます。その際、基礎はむき出しのまま地表に置かれるのではなく、地表から数十センチメートル下に根入れされます。

 基礎の接地面では、住宅と地盤が力比べをしています。上から住宅の荷重がのしかかり、下では地盤がそれを支えようとしています。正確には根切り底から下方に地盤の厚みがあるので、接地面だけの攻防ではありませんが、荷重と地盤の強度は互いに作用と反作用の関係にあるということができます。

 地盤に十分な強度があれば、住宅は本来あるべきレベルにずっととどまります。地盤の強度が不足して荷重に負けてしまうようなことになると沈下が発生します。

図・住宅の荷重と地盤の力比べ
図・住宅の荷重と地盤の力比べ
荷重と地盤の強度は互いに作用と反作用の関係にある。地盤の強度が不足して荷重に負けてしまうようなことになると沈下が発生する(図:髙安 正道、日経 xTECH)
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