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 不同沈下が厄介なのは、沈下が徐々に進行する現象であることです。建物が完成したばかりの時には何ら不具合はなく、建て主には納得づくで引き渡したはずなのに、かなり時間が経ってからクレームの電話が鳴ることになります。

 戸建て住宅では、屋根材が架構され瓦が載るくらいの段階で荷重の影響が地盤に現れ始め、沈下のスイッチがひそかに入ります。とはいえ、いきなり地面に地割れが出来て基礎が陥没するような劇的な現象が起こるわけではありません。じわじわと変化するだけなので、完成引き渡しの時点では沈下していることにまず気づきません。

 住まい手が不同沈下であると直感的に想像できるのは、基礎や土間コンクリートなど、地盤に接している部位の不具合を発見したときです。しかし、これらは日常生活の場である屋内ではないため、普段からよほど注意して観察していないと分かりません。ドアやサッシの動きが悪くなって「どうもおかしい」と思う頃には、不同沈下はかなり進行しています。住まい手は床にビー玉を転がしてみて、いきなり驚くことになります。

工事中には分からない

 建設中に図面と異なる部品が使われていたり施工が間違っていたりすれば、気づいたその場で手直しをすることができます。しかし、不同沈下に気づくのは引き渡し後がほとんどです。工程ごとの仕上がりのチェックを工事中にいかに徹底したとしても、不同沈下はチェックの網から漏れてしまうので対処のしようがありません。

 時間の経過とともに沈下が累積して、それ以上進行すると構造材が変形しかねない許容値を超えるのは、引き渡し後の数年間です。不同沈下が顕在化するまでの時間は、土質、地盤の軟弱の程度、建物荷重の大きさなどによって異なりますが、上棟からおおよそ1~2年を経過した時点が多いようです。