基幹系システム開発との3つの違い
基幹系システム開発とDXの違いはいろいろありますが、筆者がプロジェクトの推進に大きく影響すると感じているポイントは3つあります。「プロジェクトの内容」「採用技術」「体制」です(図1)。
このうちITベンダーなどDXプロジェクトを請け負う側が押さえておくべき最も重要なポイントは、「プロジェクトの内容」の「要求・要件が決まっていない」という点です。これは、「正解がない」ことを意味します。
筆者もいくつかの現場で見てきましたが、従来型システム開発を請け負うITベンダーの思考では、どうしても顧客であるユーザーに対して「要件を出してください、決めてください」といった態度で接しがちです。これまでは業務要件という正解があったのでそれでもよかったのですが、DXプロジェクトではユーザーも「何をやりたいかと言われても、よく分からない」のが本音です。
AIなどを活用した新しいビジネスやサービスを作るわけですから、明確な答えを持っているユーザーはまれです。手探りで仮説を決めて、まず世に出して人々の反応を見るしかないのです。
このため、DXプロジェクトで開発チームのPMやリーダーに求められるのは、「ユーザーと一緒に要求や要件を決めていく」姿勢です。ユーザーのビジネスとAIなどの技術の両方を踏まえたサービス内容を提案する必要があります。