全2742文字
PR

手戻りを前提にスケジュールを組む

 次に、「使う技術」について見ていきましょう。多くのDXプロジェクトでAIが選択肢に挙がりますが、AIは高いリスクをはらんでいます。プロジェクトのスケジュールを決めても、その通りにいかないことが多いのです。

 基幹系システムの開発では多くの場合、技術的に実績のある、いわゆる“枯れた”製品を採用します。これに対してAI開発は、プロジェクト内で製品の基礎研究をするようなものと言えます。

 具体例を見てみましょう。AI開発の中でも「教師あり」と呼ばれる機械学習システムの開発は、多くの場合、図2のようなプロセスで進めます。教師ありとは、コンピューターに正解データ(教師データ)を学習させて精度を高めていく方法のことです。

図2●教師あり学習のAIを用いたシステム開発プロセスと、手戻りの主な原因
図2●教師あり学習のAIを用いたシステム開発プロセスと、手戻りの主な原因
[画像のクリックで拡大表示]

 例えば、③の「対応するデータ収集・加工」の段階で必要な教師データをなかなか提供してもらえない、またはデータの不備がある、といったことは決して珍しくありません。⑤の「評価」でどうしても正解率が高まらず②「必要なパラメーターの仮説定義」からやり直すことも日常茶飯事です。場合によっては①「AIで解きたい課題設定」まで立ち戻ることもあります。

 このように、かなりの確率で手戻りが発生します。初めから、スムーズに⑤の「評価」をクリアするところまでいくことの方がむしろまれです。

 このためアイデアの実現性を確かめるPoCのようなアプローチが必要になるわけですが、現実問題として、ある程度開発サイクルを何度も繰り返す前提でスケジュールを組む必要があります。またそのことを経営者に説明して、理解してもらう必要があります。