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 どんなプロジェクトでも、それを進めるチームの体制は成否に大きく影響します。DX(デジタルトランスフォーメーション)の場合は、特に重要と言えます。

 DXプロジェクトのチーム編成において特徴的なのは、ユーザー側の多くの部門が関わる可能性があることです。多様なメンバーをうまくまとめるには、部門横断的なチームを組成し、役員クラスを意思決定者として巻き込むことが求められます。

縄張り争いやお見合いが多発

 DXプロジェクトのよくある例として、「IoT(インターネット・オブ・シングズ)で機器のデータを収集し、故障予測をするサブスクリプションサービスを新規に開発するプロジェクト」を考えてみましょう。図1のように、5部門ほどが関わることになります。

図1●DXプロジェクトに関係する部門の例
図1●DXプロジェクトに関係する部門の例
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 このような複数部門による合同プロジェクトでは、部門間での縄張り争いや、タスクの押し付け合いが発生しがちです。「ほかの部門がやってくれるだろう」という“お見合い”も多発し、一向に検討が進まない、というようなことが起こります。

 また、営業部門など既存の商品やサービスを販売している部門からは、新サービスに対する抵抗を受けることもあります。新サービスは自分たちの領域を侵食する、場合によっては破壊する可能性があるからです。

 部門の代表者という立場でプロジェクトに関わると、各メンバーが所属部門のポジショントークを始めてしまいます。これでは、なかなか話がまとまりません。

 これを防ぐために、新サービスのタスクフォースを組織します。各部門の人材を、DXプロジェクト専任の形で提供してもらうのです。

 どの部門から来たメンバーも同じプロジェクトの一員となるため、部門の枠を超えた協力体制を築きやすくなります。一方でどのメンバーも各部門とのパイプを持つので、情報収集などがしやくなります(図2)。

図2●各部門からDXプロジェクト専任者を出す
図2●各部門からDXプロジェクト専任者を出す
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