無線LANの分野では「高密度環境」という用語が使われることがあります。狭い範囲で多くの端末が接続する環境を指します。もともと、人が多い会議室やスタジアムなどの空間を指す言葉でした。1人が複数の端末を持ち、今後はIoTにも無線LANが活用されるようになると、オフィスなども高密度環境になる可能性があります。今回は、高密度環境での無線LANを説明していきましょう。
本講座の第1回で、アクセスポイント(AP)を15~20mの間隔で設置するよう推奨しました。これを日本の一般的なオフィス環境に当てはめると、1台のAPで30人程度のユーザーをカバーすることになります。
ユーザー1人につき1台のパソコンと1台のスマートフォンを接続すると仮定すると、1台のAPに60台の端末を接続することになります。すべての端末が同時に通信するわけではありませんが、今後はオフィスでも高密度環境を想定しなければならないケースは増えるでしょう。
高密度環境に対応するには二つの方法があります(図1)。