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 モーターのコイルの配線には、図1に示すように、デルタ結線(Δ結線、三角結線とも呼ばれる)とスター結線(Y結線、星形結線とも呼ばれる)の2種類がある。どちらを使用するかは、ケース・バイ・ケースの判断が必要だ。

図1 デルタ結線とスター結線
図1 デルタ結線とスター結線
1相の巻き線抵抗が同じであっても、結線法によって最大電流が異なる。高電圧用モーターではスター結線が利用でき、この方が損失は少ない。(作成:筆者)
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 駆動電圧が12Vや24Vといった低電圧用の永久磁石同期モーターでは、大電流を流せるように、デルタ結線が使われることが多い。例えばローターが停止しているとき、巻き線抵抗が1Ω、電源電圧が12Vの場合、スター結線ではU-V間の抵抗は2Ωとなり、電流は6Aとなる。一方、デルタ結線では、U-V間の巻き線1本の抵抗は1Ωなので12A、U-W-V間の2個の巻き線の直列接続抵抗は2Ωなので6A、合計18Aを流すことができる。モーターの発生トルクは電流に比例するため、(定格以内で)できるだけ大きな電流を流したい場合はデルタ結線が有利である。

 一方、高電圧用の永久磁石同期モーターでは、スター結線が使われる。スター結線のメリットは効率にある。デルタ結線とスター結線の両者にインバーター回路を接続した状況を考える(図2)。インバーター回路からモーター巻き線には、パルス幅変調(PWM)*1されたパルス状の電圧が与えられる。一般的には電流センサーは2個取り付けられ、モーター巻き線電流の検出に使用される*2

図2 結線方式と効率
図2 結線方式と効率
デルタ結線では、モーター内部を流れる高調波電流が銅損となり、モーターを過熱させる。スター結線では、この現象をセンサーによって捉え、制御することができる。(作成:筆者)
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 PWMインバーターによる駆動であるため、巻き線電流に高次の高調波電流が流れる。デルタ結線では3次高調波など3の倍数次の高調波電流がコイル内を旋回するように流れる。この高調波電流は、トルクには影響を与えないものの銅損*3となり、モーター温度を上昇する。発熱はモーターの効率を下げるだけにとどまらない。発熱分のエネルギーもインバーターから供給しているため、大きなロスになる。重要なことは、デルタ結線ではこの高調波電流がどの電流センサーも通らないために検出不可能で、制御できない点にある。

 これに対して、スター結線では、どのコイルを流れる高調波電流であっても必ず電流センサーを通過するため検出が可能だ。検出情報を基に、プロセッサー側で駆動電流を調整処理することで、銅損を低減し、モーターの発熱を抑えて効率を上げることができる。制御を含めて考えたときには、スター結線が効率の面で有利である。なお、デルタ結線かスター結線であるかは外見では判別できないため、モーターメーカーに確認する必要がある。