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 建設現場では、予期せぬ状況に出くわすことが多い。急な雨、整備したはずの機械の故障、交通渋滞なども、現場に影響を与える。このような状況でも、現場の技術者に豊富な経験があれば、コンクリート構造物の不具合の発生を防ぐことができる。計画通りには進まない前提で、余裕のある施工計画を考えておくことも重要だ。

変化する性質を計画に取り込む

 コンクリートの性質について、ざっとおさらいしておこう。

 セメント、水、細骨材、粗骨材、さらに必要に応じて混和剤を加えて練り混ぜれば、コンクリートはできあがる。細骨材と粗骨材が骨格となり、これらを結び付けるのが水を加えたセメント、つまりセメントペーストであり、接着剤の役割を果たしてコンクリートができる。セメントペーストの強度が高いほどコンクリートの強度も高く、耐久性にも優れる。

 セメントは水を加えると水和反応を始め、次第に強度を増す。コンクリートは、水和反応が急激になる前に打ち込む。セメントには急激な反応が起こらないような工夫がなされており、混和剤にもその性能がある。それでもフレッシュコンクリートの品質は刻々と変化する。

 下に、コンクリート工事に携わる技術者に知っておいてほしい3つのグラフを示した。上段の図1Aは、標準的なコンクリートのスランプの経時変化を表すグラフだ。スランプは、練り混ぜ直後から時間とともに小さくなっていく。中段の図1Bは、凝結の経時変化を示す。「プロクター貫入抵抗試験」と呼ぶ方法で測る。練り混ぜから4時間を過ぎたころから、急に抵抗値が高くなる様子がわかる。一方、下段の図1Cは湿潤養生期間と圧縮強度の関係を示したグラフだ。湿潤養生期間が長いほど、圧縮強度は大きくなる。

図1A・練り混ぜ後のスランプの経時変化
図1A・練り混ぜ後のスランプの経時変化
標準的なコンクリートのスランプの経時変化を表すグラフ。スランプは、練り混ぜ直後から時間とともに小さくなっていく
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図1B・練り混ぜ後からのプロクター貫入抵抗値の経時変化
図1B・練り混ぜ後からのプロクター貫入抵抗値の経時変化
凝結の経時変化を示すグラフ。「プロクター貫入抵抗試験」と呼ぶ方法で測る。練り混ぜから4時間を過ぎたころから、急に抵抗値が高くなる様子がわかる
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図1C・打ち込み後のコンクリート強度発現性
図1C・打ち込み後のコンクリート強度発現性
湿潤養生期間と圧縮強度の関係を示したグラフ。湿潤養生期間が長いほど、圧縮強度は大きくなる
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