宅地地盤で不同沈下が発生すると、その上に立つ住宅にどのような現象が生じるか――。見逃しやすい初期症状から、建物の構造体に深刻な影響をもたらすクラックや傾斜など、具体的なトラブルを5回の講義を通じて学んでいきましょう。

連載
住まいの地盤診断[不同沈下によるトラブル]
目次
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第1回 初期症状は見逃しがち
戸建て住宅が不同沈下を起こすとどうなるのか。不具合の具体例を発生時期別に時系列的に見ていきましょう。ここまで記してきたように、不同沈下の兆候は実にささいな部位から現れ、次第に生活に支障をきたすほどの不具合へと発展していきます。
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第2回 基礎に太めのクラックが入る
木造の戸建て住宅では、基礎に大きな剛性強度は要求されていません。したがって、不同沈下によるわずかな傾斜が発生しただけで、それに対抗できずにクラックが発生します。
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第3回 壁紙にしわ、床に隙間
室内側で発生する不具合の例を見ていきます。構造材がゆがむと仕上げ材の壁紙に影響が出てきます。室内の壁のしわは住まい手にとっては最も目に付く不具合です。ただ、その多くは施工不良が原因であり、壁のしわを見て真っ先に不同沈下を疑う人はいないと思います。
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第4回 サッシや押入の戸が閉まらない
サッシの開閉ができない、ドアの天地が枠に当たる、押入の戸が閉まらない──といった建具の開閉不良は、住まい手に生活上たいへんな不便を強いることになります。
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第5回 塀が傾き、擁壁が沈む
不同沈下するのは建物だけではありません。住宅の荷重に比べればはるかに軽いはずの塀や門柱でも、地盤が軟弱であれば不同沈下します。クラックが発生したり傾いたりすることもあります。