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 戸建て住宅が不同沈下を起こすとどうなるのか。不具合の具体例を発生時期別に時系列的に見ていきましょう。ここまで記してきたように、不同沈下の兆候は実にささいな部位から現れ、次第に生活に支障をきたすほどの不具合へと発展していきます。

犬走りのクラック

 土間コンクリート(犬走り)は、住宅本体の構造に直接的に影響を及ぼす部位ではありません。しかし、沈下の影響による不具合が最初に出てくる繊細な部位であるという点で重要です。
 コンクリートに入るクラックは大きく分けて2種類あります。1つが、コンクリートの乾燥に伴って発生する収縮クラックです。髪の毛ほどの細さなのでヘアークラックとも呼びます。もう1つが、不同沈下の影響などの外的要因による構造クラックです。

 コンクリートの乾燥は1年ほどで収束するので、それに合わせて収縮クラックの発生も治まります。一方、不同沈下の影響で発生するクラックは、逆に1年を過ぎたころから現れはじめ、時間の経過とともに幅が広がっていくのが特徴です。

 ただし、構造クラックは不同沈下だけでなく、擁壁の沈下やせり出しといった外構の変動に伴って出てくる場合もあります。見過ごしてはなりませんが、発見してもあくまで不同沈下を疑うきっかけに過ぎないと心得てください。

 犬走りのクラック以外の初期症状としては、住宅本体の外壁モルタルに入るクラックが挙げられます。収縮クラックとは異なり、建物の隅角部や窓開口の隅部といった、構造躯体のゆがみを拾いやすい場所に発生します。

写真・犬走りのクラック
写真・犬走りのクラック
犬走りの亀裂。不動沈下の影響が疑われる(写真:髙安 正道)
写真・開口部隅角部の亀裂
写真・開口部隅角部の亀裂
外壁モルタルのクラックは開口部の周辺に生じやすい(写真:髙安 正道)
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髙安 正道(たかやす・まさみち)
NPO住宅地盤品質協会 広報委員
髙安 正道(たかやす・まさみち) 1953年、那覇市生まれ。東京都立杉並高校卒業。早稲田大学商学部中退。NPO住宅地盤品質協会の広報委員、株式会社「地盤審査補償事業」審査員を務める。本講義は同氏の著書「日経ホームビルダー・住宅現場手帖 地盤診断」(日経BP)に、同氏の協力を得て加筆・修正のうえ、日経 xTECHが再構成した。