全2937文字

 構想フェーズの段階で、そもそも「誰」に対するサービスかが曖昧なケースもあります。筆者がこれまで手掛けたプロジェクトでも、そうした例がありました。特に、ブロックチェーンや顔認証などの技術を既に持っている会社の場合、その技術で何かをしようというプロダクトアウト的な発想になりがちです。

 しかし、これではDXプロジェクトはうまく進みません。筆者自身が自社サービスを企画・開発してきた経験から言えるのは、サービスを「誰」に届けるかが決まっていないと市場に適合したものにならない、つまりニーズに合っていないサービスになるということです。少なからぬ投資をしてせっかく新しい取り組みをしたのに誰も使わないサービスにはしたくないものです。

 そのため、システム開発に進む前の構想フェーズでの企画内容が、サービスの成否に大きく影響します。システム開発が進んでしまうと、費用やスケジュール面の制約でなかなか後戻りできないのが現実です。つまりDXプロジェクトにおける構想フェーズは、非常に重要な工程なのです。

 それでは、構想フェーズでは具体的にどのようなことを整理していくべきかについて、以降まとめていきます。

 なお、本講座における構想フェーズは要件定義の手前まで、つまり要求定義を含むものとします。

構想フェーズで決めるべき4項目

 DXプロジェクトの構想フェーズで決めるべきは、以下の4項目です。

  1. サービス企画
    誰の課題に対して何を提供するのか
  2. サービス要求定義
    サービスを具体化するとどんな機能になるのか
  3. 事業戦略・計画
    いくらでどのように売るか。どんなスケジュールで、どう収益を立てるのか
  4. 次フェーズ計画(要件定義等)
    構想フェーズの次に具体的に何をするのか

 それぞれの内容を、表1に簡単にまとめておきます。詳しくは追って説明します。

表1●構想フェーズで決めるべきこと
表1●構想フェーズで決めるべきこと
[画像のクリックで拡大表示]