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「容積対象面積」は除外できる部分がある

 次に「容積対象面積」は、「容積率」を計算する際に用いる延べ面積を指し、建築基準法での正確な表現は「容積率の算定の基礎となる延べ面積」といいます。「容積率対象の面積」「容積対象延べ面積」といった言葉が出てきた場合も同じ意味と思ってかまいません。なお容積率とは、敷地面積に対する延べ面積の比率で、この講座の第4回講義でもう少し詳しく説明します。

 容積対象面積が延べ面積と違う点は、面積を算出する際に除外できる緩和対象がいくつか定められていることです。容積対象面積から除外できるのは次の場所です。

  • 駐車場など(ただし延べ面積の5分の1まで)
  • 備蓄倉庫、蓄電池設置部分(同じく50分の1まで)
  • 自家発電設備、貯水槽、宅配ボックス設置部分(同じく100分の1まで)
  • 住宅と老人ホームの地下室(ただし住宅・老人ホーム部分の床面積の合計の3分の1まで)
  • エレベーターの昇降路
  • 共同住宅と老人ホームの共用廊下など

 前述したようにピロティーは、駐車場に利用すると延べ面積の計算には含める必要があります。しかし駐車場部分の面積が延べ面積の5分の1以下であれば、容積率を算出するときの面積には加える必要がありません。

容積対象面積を算出する際に除外できる緩和対象例
容積対象面積を算出する際に除外できる緩和対象例
左上は駐車場、右上は住宅・老人ホームの地下室、下はエレベーターの昇降路に関する緩和例(資料:日経 xTECH)
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 容積対象面積の緩和対象は、時代とともに少しずつ増えてきました。例えば近年の例を挙げてみましょう。備蓄倉庫や蓄電池、自家発電設備、貯水槽の設置部分が緩和対象になったのは2012年。前年の東日本大震災を経て防災意識が高まってきた状況を受け、これらの設置を促す措置として緩和されることになりました。

 2014年にエレベーターの昇降路に対する緩和を盛り込んだ改正法が施行されたのは、古い共同住宅などのバリアフリー化を進める目的がありました。階段しかない共同住宅へ新たにエレベーターを設置しようとすると、延べ面積が増えます。すると、容積率ギリギリで立っている古い共同住宅では新設できず、高齢の居住者が多い場合には大きな問題になりかねません。そうした状況を防ぐために、容積対象面積からエレベーターを除くことになったのです。

守山 久子
ライター
守山 久子 建設会社から日経アーキテクチュア記者、日経デザイン副編集長などを経て、2003年に独立。長年、建築ライターとして活動し、「建築プレゼン15の流儀」(日経BP社)など著書も多数。近年は日経アーキテクチュアおよび日経ホームビルダーで、建築基準法の改正や省エネ住宅の動向をテーマにした記事、連載を数多く担当。(イラスト:宮沢 洋)