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 木造戸建て住宅では近年、陸屋根(フラットな形状の屋根)、外壁に対して飛び出しが小さい軒・庇、外壁と一体化したバルコニーといった外観デザインが目立ってきました。

 第1回講義で説明した「雨仕舞い」の観点だけでいえば、いずれも「寄せ棟や切り妻の屋根に総2階建て」といったごく一般的な外観デザインの建物に比べて、雨漏りのリスクが相対的に高いデザインです。言い換えると、そうした外観デザインの建物では、雨漏り対策で「防水施工」への依存度がより高くなっているという傾向があるのです。

 防水施工に用いられる重要な副資材の1つ、シーリング材は、部材同士の接合部で目地や隙間などを塞ぐ資材です。屋根や外壁、屋内では水まわりなど、住宅建築のさまざまな部分で多用されており、施工品質の良しあしが生じやすい資材でもあります。雨漏り対策を考えるうえで、まずはシーリング材について、理解を深めてみましょう。

 住宅建築用のシーリング材は用途や施工部位などに応じてさまざまな種類があります。具体的には、変性シリコーン系、ポリウレタン系、ポリサルファイド系といった種類です。施工の容易さから、一般には「1成分形」がよく使われています(基材と硬化剤を現場混合する「2成分形」というタイプもあります)。

 シーリング材は接着対象の表面素材によっては、“相性”が合わず、接着不良が生じる場合があります。例えばアルミサッシで、表面に一般的なアクリル系樹脂塗装を施したタイプでは通常、1成分形の変成シリコーン系シーリング材を用います。しかし同じアルミサッシでも、表面に特殊なコーティングを施したタイプなどでは“相性”が合わず、防水箇所に打設するシーリング材がうまく接着しないケースがあります。接着不良が生じた箇所は、漏水ポイントになるリスクがあります。

 こうしたリスクを防ぐためには、シーリング材を打つ対象部材の材質や表面処理の状態を確認したうえで、適切な組み合わせで選ぶことがとても重要です。必要に応じて、シーリング材のメーカーに相談することも大切。また打設箇所にプライマー(下地処理剤)を施工するといった事前処理も、接着不良を防ぐうえでは不可欠です。

 下の図は、シーリング材との相性でリスクが見込める部材の代表例で、日本サッシ協会がまとめたものです。相性に注意が必要なだけでなく、シーリング材の接着効果が見込めない材料もあります。まずは、こうしたリスクをしっかり意識することが、施工品質の確保を実践する第一歩です。

シーリング材には“相性”のリスクあり
シーリング材には“相性”のリスクあり
シーリング材との相性でリスクが見込める部材の代表例(資料:日本サッシ協会の資料を基に日経 xTECHが作成)
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